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〈月間平壌レポート -10年1月-〉 鉄で実感、生活向上への期待

強盛大国建設に自信深め

 【平壌発=李泰鎬記者】昨年、朝鮮では経済のさまざまな分野で増産と技術革新が起きた。人びとの眼前に広がったこうした現実は、「強盛大国建設」への自信を深めるものだった。「150日戦闘」に続いて行われた「100日戦闘」が昨年末に終わったばかりだが、新年も人民の熱意は高まるばかりだ。

話題の企業所

昨年末、平壌を訪れ、市民の温かい歓迎を受ける城津製鋼連合企業所の労働者ら

 新年の共同社説は昨年を「人民の理想が実現する稀有な時代が開かれた劇的な転換の年」と総括した。2009年はまさに、「鋼鉄に始まり鋼鉄で締めくくられた」年だった。

 08年12月24日、金正日総書記の千里馬製鋼連合企業所に対する現地指導で、12年に強盛大国の扉を開くための「新しい革命的大高揚の烽火」が灯された。その炎は全国各地、各分野に燃え広がった。「150日戦闘」「100日戦闘」などを経て経済は活性化し、さまざまな分野で最先端を突破する技術革新があった。

 そして今年の炎は金策製鉄連合企業所に灯された。昨年12月、同企業所に対する金正日総書記の現地指導があった。

 昨年末、全国的に注目を集めたのは「チュチェ鋼鉄」生産体系を完成させた城津製鋼連合企業所だ。「チュチェ鋼鉄」生産体系は総書記の現地指導の際にも最大級の評価を得た。総書記はこの成果を祝して企業所の労働者、技術者ら約1千人を平壌に招待した。その日は千里馬製鋼連合企業所に「烽火」が灯されてからちょうど1年が経った12月24日だった。

 平壌市民の関心は「鋼鉄」に集中した。誰もが、「第3次核実験よりも偉大な成果」と評価された「チュチェ鋼鉄」生産体系の中身について知りたがった。平壌を訪れ報告会や宴会、各地の参観、公演観覧、テレビ番組収録と多忙なスケジュールをこなした一行は、休憩や移動の合間にも記者や関係者に囲まれ質問攻めにあっていた。

 平壌滞在期間、支配人と並んで注目を浴びたのは、同企業所設計研究所のチョン・グァンリョン室長だった。「チュチェ鋼鉄」生産体系の要となる酸素溶融炉と精錬炉の設計に貢献した39歳の若き技術者だ。

 室長は、「国内の原料と燃料に基づいて自分たちの実情に合ったやり方で新たな方法を創造した」ことが大きな評価を得た理由だと述べた。生産される鋼鉄の質について質問すると、落ち着き払った口調は一変、「不純物の無い鋼鉄、純度100%のチュチェ鋼鉄だ。さまざまな鋼材を作りだせる」と力強く語った。

チュチェ思想の真髄

 鋼鉄に関する取材は金属工業に関する知識が乏しい記者の頭を悩ませた。しかし城津、千里馬の両企業所の関係者らが丁寧に説明してくれたおかげで、何とか理解を深められた。

 とくに千里馬製鋼連合企業所の超高電力電気炉の設計で中心的役割を果たし、映画のモデルにもなったリ・ジェギョンさん(72)は、「鋼鉄で国を支える千里馬の精神」について熱く語ってくれた。「チュチェ鉄」が「ただの鉄」でないことを教わった。

 金日成主席は生前、コークスを使わない製鉄・製鋼方法を確立すべき必要性を何度も強調した。それはつまり、朝鮮の実情、自分たちを取りまく状況に合った独自の方法を自らの力で生み出すことだった。だからこそ、超高電力電気炉を自力で完成させた千里馬製鋼の「自力更生」は高く評価され、「新しい大高揚」の旗手を任された。そして今回、城津製鋼もその精神を貫き、総書記の「特別感謝」を受けた。

 チュチェ思想の真髄を知る朝鮮人民は、千里馬製鋼の超高電力電気炉、城津製鋼の酸素溶融炉と精錬炉、そして新年に入り大きく報じられた金策製鉄の「チュチェ鉄」溶鉱炉を単なる生産手段として認識していない。彼らにとっては、新時代を切り拓く政治思想の産物、人民の精神力によって成し遂げた成果にほかならない。

大盛況の百貨店

 新年の共同社説は、すでに達成された経済分野の成果に基づき、人民生活で決定的な転換を起こすという目標を掲げた。社説には「鋼材があれば米も機械も作ることができる」というフレーズがある。

 共同社説のアピールにはそれなりの根拠があるに違いない。

 平壌市内の百貨店は元日から連日、足の踏み場もないほどの大盛況だ。多くの商品が入荷し、新貨幣発行に合わせて調整された新価格でいっせいに販売された。売れ行きがとくに好調なテレビ、毛布をはじめ、各種衣類、酒類、日用品、菓子、果物が百貨店の求めに応じて運び込まれている。輸入品を手にする人はほとんど見かけない。

 「商品が買いやすくなった」「外貨商店や市場に行かなくてよくなった」と市民の反響は大きく、人民生活向上に寄せる期待も高い。平壌第一百貨店など各百貨店の従業員らは「人民の役に立ててうれしい」「強盛大国への確信を強めた」と喜んでいる。

 一般事務職に比べ多額の「分配金」を手にした農場員や炭鉱・鉱山労働者の中には、家電を一式買い替えたり日用品を新たに買いそろえた家庭が多く、新年の話題となった。

 農場員たちは今年も生産目標を達成しようと意気込んでいる。記者が訪れた平壌市のチルゴル協同農場では、昨年同時期に比べ肥料搬出などの作業が3倍以上早く進んでいる。ホン・キホ技師長(45)は「農場員たちは国の期待に応えようという熱意に満ちている」と述べた。

[朝鮮新報 2010.1.27]