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「小さな貴ひん」迎えた平壌市民 迎春公演参加の在日朝鮮学生少年芸術団

「朝鮮人の誇り強く持って」

 【平壌発=李泰鎬記者】旧正月(14日)に行われる「学生少年たちの迎春公演」に出演予定の在日朝鮮学生少年芸術団を今年も迎え入れた平壌ホテルは、生徒たちが練習に専念できるよう環境整備に努めている。最近、朝鮮国内でも京都朝鮮第1初級学校が右翼団体の暴力の標的とされた事件のニュースが伝わっている。ホテルの従業員たちも「日本で辛い目に遭っている子どもたちの心を少しでも癒してあげたい」「家族と離れて生活する子どもたちが寂しい思いをしないよう、肉親のような愛情をもって尽くしたい」と語る。

細部にまで配慮

迎春公演を控えて練習に励む在日朝鮮学生少年芸術団のメンバー(写真上=口演組、写真下=舞踊組)

 「学生少年たちの迎春公演」は今回で60回目を迎えた。飛行機で訪問した同芸術団としては過去最多の110人(初5〜中2、引率教員5人)という大所帯だ。「小さな貴ひん」を迎えたホテル側の力の入れように、他の宿泊客も「何事か」と驚いている。

 新年に入り、ホテル各階の管理員たちは、客室設備の点検、補修を入念に行った。10年来の寒波にともない「冷凍庫のような部屋」もあったが、オンドルなど暖房器具を整備し部屋を暖めて子どもたちを迎え入れた。室内を清潔に保ち、うがい、手洗いも徹底させている。

 生徒たちには風邪予防に効くという「ニンニク袋」が一つずつプレゼントされた。2階の食堂では、キムチや温かいスープとともにカレーライス、ハンバーグ、から揚げ、肉じゃが、うどんなど日本でなじみの料理も振る舞われている。「宿泊客が少ないから」との理由で、ホテル内すべての食堂、レストランで1カ月以上作らなかった冷麺もメニューリストに載った。

 芸術団は毎日、午前と午後に約2時間ずつ練習を行っている。合間に市内観光も予定している。

 芸術団のガイドを務める在日同胞事業局の職員たちは、「朝鮮学生としての誇りを強く持ってほしい。子どもたちが不自由なく練習し生活できるよう最大限、努めたい」と述べた。

「民族教育守り抜いて」

 「日本が制裁やバッシングを行っても、祖国にいる私たちは命や生活を脅かされることはない。でも、日本に住むこの子たちは学校で勉強している時でも弾圧やいじめを受けている。それを思うと胸が張り裂けそうだ。まったく許せない」

 20代のある女性従業員はこう話す。在日同胞の近況に関する新聞記事を読んだ感想だ。

 労働新聞は昨年12月24日、「対朝鮮敵視政策が生んだ反総連狂乱劇」という見出しで、「極右保守団体として悪名高い『在特会』(『在日特権を許さない市民の会』)のメンバーらが、京都朝鮮第1初級学校に集団で押し寄せ、長時間にわたり拡声器で暴言を吐き、学校の機材を破壊する騒ぎを繰り広げ、幼い子どもたちの純真な心を傷つけた」と報じた。そして「事件の背景には、長い間、日本政治の不治の病である民族排他主義、朝鮮と総連、在日同胞に対する敵対視政策がある」と指摘した。

 記事は反響を呼んだ。掲載日の昼食時、ある炭鉱の食堂はこの話題で持ちきりだったという。従業員らは「すぐにでも駆けつけて子どもたちを守ってあげたい。在日同胞には、どんな大国にも屈することのない祖国がついていることを忘れないでほしい。朝鮮学校を守ろうと声をあげた日本人もいると聞いている。試練を乗り越え、必ず学校を守り抜いてほしい」と記者にメッセージを託した。

 その後、朝鮮学校に対する2度目の暴力騒ぎが起きたが、これも日本から入った情報として、市民の間で口コミで広がった。

 朝鮮革命博物館でガイドを務める30代のある女性は、「子どもたちの心を傷つける卑劣で野蛮な行為だ。白昼に警察官がいる目の前で行われたというが、こんな蛮行が許される日本社会とはいったいどんな社会なのか。言葉も出ない」と怒りを表した。そして、今年は「韓日併合条約」の強制によって日本が朝鮮を完全に植民地化してから100年になる年だとしながら、「日帝は朝鮮民族を抹殺しようと『皇民化』教育を実施し、朝鮮語や氏名まで奪った。今回の事件は、日本には植民地支配を反省するどころか、いまだに過去のような野望を抱き、朝鮮人を支配しようと企む狂乱者がいることを物語っている」と述べた。

 在日同胞の祖国訪問時にガイドを務める40代のある男性は、「総連は今年を民族教育の年と位置づけたと聞いている。活動家と同胞の団結した力で民族教育と同胞社会をさらに発展させてほしい」と語った。

[朝鮮新報 2010.2.1]