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発電所建設現地ルポ 「熙川速度」に沸く壮大なプロジェクト

 【平壌発=李泰鎬記者】平壌から北へ230余キロ。氷点下20度を下回る北方の山間地帯で大規模水力発電所建設が急ピッチで推し進められている。慈江道熙川市一帯で行われている熙川発電所建設は、山を削り、ダムを建設し、トンネル水路を貫通させて2つの川を合流させる壮大なプロジェクトだ。極寒の地では数万人の労働者たちが建設工事に従事しており、「一分一秒が革新」とされる建設速度、「熙川速度」に沸いていた。

同時進行で

急ピッチで建設が進められている熙川2号発電所の建設現場

 熙川発電所建設は昨年3月、金正日総書記の現地指導以降、本格的に始まった。

 一帯を流れる清川江と将子江を効果的に利用し、2カ所に水力発電所を設置。平壌に直通で電気を送ることが建設目的だという。

 現在、将子江流域の龍林ダム、清川江流域の熙川ダムの2つのダムと熙川1、2号の2つの発電所、トンネル水路などの工事が同時進行で推し進められている。

 一帯は山に囲まれている。まず、建設資材を運ぶための道路と橋を作り、次に労働者用の宿泊施設を建設しなければならない。また、2つの川を合流させるための水路トンネル(30キロメートル)を建設するための作業用トンネルも掘らなければならない。その数は81で、長さは27キロメートルにも及ぶ。

 熙川発電所建設が従来なら10年以上かかるとされているのも、このような地理的に不利な条件のためだ。

 200キロメートルに及ぶ建設道路はすでに完成された。これを通じて、全国各地から資材と労働者への支援物資が運ばれてくる。熙川ダムの高台からは物資を積んだ数百台のトラックを眼下に望むことができる。また、クレーン、セメント混合機、掘削機などの設備とその周辺で働く労働者の姿も見えた。彼らはバラバラに動いているように見えるが、実際は現場監督の指示に従って規則正しく働いている。

 建設現場はまさに「戦闘場」だった。「決死隊よ前に!」などのスローガンが掲げられ、雰囲気を盛り上げる歌が絶え間なく流れていた。

 難題は岩盤を砕く作業だ。削岩機の先端部分がすぐに使えなくなるくらい硬いという。作業現場では砂ボコリが立ち込めていた。極寒の中で、汗を流しながらランニングシャツ姿で作業する人もいた。

 建設現場の責任者シム・サンモさん(67)によると、2月下旬の時点での建設推進状況は龍林ダム17%、熙川ダム35%、トンネル水路38%で、2基の発電所建設の基礎工事が行われている。平壌までの送電線建設は、今年4月までに鉄塔の基礎工事を終える予定だ。

全国が支援

一番の難題である削岩作業に挑む労働者たち

 金正日総書記は昨年3月と9月、そして今年年始の計3度建設現場を訪れている。

 昨年9月現地を訪れた総書記は、熙川発電所の建設現場に流れている一分一秒はそのまま飛躍であり、革新であって、その建設速度はまさに先軍時代の新しいチョンリマ(千里馬)速度、「熙川速度」だと述べた。

 今年の現地指導の際も建設成果を高く評価し、その直後に全労働者にあてた「特別感謝文」を送った。

 発電所建設は、全人民の関心と支援の中で行われている。

 国内の工場で生産されたセメントや発電設備だけでなく、コメなどの食糧といった支援物資も全国各地から送られてくる。

 また、建設に従事したいと嘆願する人も日増しに増えているという。とくに、省・中央機関など発電所の恩恵を受ける平壌市民の志望者が多く、人員制限されている状態だという。

 妻と生まれたばかりの息子を平壌に残してきた外務省のキム・ソンジンさん(32)は、削岩作業に汗を流していた。「平壌のための工事だから自分も何か貢献しなければならないと思った」。

 軍人労働者の家族も建設現場に赴いて作業を手伝っている。

 労働者らは一様に、熙川発電所建設が金日成主席の遺訓を貫徹するための事業だと話す。

 金正日総書記は2012年まで発電所を建設するよう最高司令官命令を下した。建設指導部では、10年かかるとされる工事を2〜3年内に終え、金日成主席生誕100周年に当たる2012年4月までの完工を目指している。

[朝鮮新報 2010.2.23]