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〈月間平壌レポート -10年2月-〉 経済分野で「実感できる変化」を

「強盛大国の大門」めざすロードマップ

 【平壌発=李泰鎬記者】金正日総書記の生誕日(2月16日)と旧正月(2月14日)の「ダブル名節」が過ぎると気温は一気に上昇。冬は終わりを告げ、春の訪れを感じさせた。百貨店はいまだ客足が絶えずにぎやかだ。名節を契機に、地域の小さな商店にも商品がどんどん運ばれ、食料品や日用品が昨年末の通貨交換措置の直後よりも値を下げて売られている。生産現場からは2月の目標を「超過達成」したとのニュースが伝えられた。16年ぶりにビナロン綿が生産されるという「国家の大慶事」も訪れた。試行錯誤を繰り返しながらも朝鮮は着実に「強盛大国の大門」に近づいていると感じた。

幸せを自分の手で

平壌船興食料工場で量産されているパン [朝鮮中央通信=朝鮮通信]

 2つの発電所建設現場を取材した。

 建設が進む熙川発電所(慈江道)は、首都・平壌の電力事情を解決するためのものだ。10年分の作業量を2〜3年で終わらせる展望を切り開いた「熙川速度」で知られる建設現場では、ダムと発電所の基礎工事、建材の生産と搬入、コンクリートの打ち込みを複数カ所で同時に行う「立体戦」が展開されている。「休憩より仕事、食料より建設機材」を求め、最高司令官の命令を黙々と遂行する「軍人労働者」の姿は、強盛大国建設に取り組む全人民の模範となっている。

 一方、礼成江発電所は黄海北道の住民らが自力で建設している。学生や主婦、事務員まで多数の道民が志願し、土を運び水路を敷いた。その光景は、金正日総書記を感激させた。「私は発電所建設を初めから見てきた目撃者だ。ここには道民の血と汗が染み込んでいる」。発電所が完成すれば、道内の電力事情は大きく改善され、地域産業も活性化されるという。

 これらの現場を訪れたのは2月上旬だ。昼の気温もマイナス15度を下回っていた。山間から吹き付ける冷たい風で体は固まり、メモを取ろうにも指は動かず水性ペンのインクは完全に凍ってしまった。こうした厳しい状況でも工事は止まらない。建設現場に自らの情熱と汗をぶつけ自分の手で幸福をつかみ取ろうとする熱い思いを肌で感じた。両発電所の完工予定は2012年4月15日だが、現場の労働者たちはそれよりも早く終わらせると口をそろえる。

国家に対する信頼

 1月に総書記の現地指導を受けた平壌小麦粉加工工場を取材した。パン、即席麺、菓子などを大量生産し「平壌市民がいつでも商店で買って食べられるように」することを命じられたという。現在、量産のための設備更新、現代化が進められている。

 昨年9月にオープンした普通江商店には、大同江果樹総合農場で収穫されたリンゴが常に並べられている。リンゴは見た目がよく味も見事だ。ここに陳列された果物は、市場や外貨ショップに並べられていたものよりもはるかに安い価格で売られている。普通江商店を訪れた在日同胞は「こういう実物を見せられると強盛大国を身近に感じられる」と述べた。

 市内のある食料品商店にも「基礎食品」と呼ばれるしょうゆ、みそ、油そして焼酎、清涼飲料、菓子、卵などが棚にびっしり並べられている。国家の指導の下、今年に入って1〜5割値下げして販売されている。

 昨年末の通貨交換措置以後に価格調整がたびたび行われたが、結果的に価格は下がっている。さらなる値下げが検討されている品や、一人当たりの供給量が増えた品もあるという。

 「国家が人民を苦しめるはずがない。前人未到の社会主義建設の道を歩む過程では、一時的な不備が生じたりもする。それもいずれは必ず改善される」とある客は話していた。

改装したレストラン街

 高麗ホテル前の通りは、蒼光街という有名なレストラン街だ。昨年12月に全面改装され17店舗が営業している。民俗料理、焼肉、洋食、中華、そして冷麺、鳥やナマズ料理の専門店、居酒屋にカフェもある。

 注目は朝鮮の四季折々の民俗料理を味わえる「四季食堂」と、朝鮮伝統の健康料理を定食として出す「ネポクッチブ(内臓スープ食堂)」だ。オープンに向けてさまざまな資料を探り250種類の伝統料理を「発掘」、再現したという。粥だけでも数十種類ある。他の店舗でも新メニューの作成に力を入れており、定期的に試食会が開かれている。

 料理の解説までしてくれる親切、丁寧な接客が好評だ。国産の焼酎やビールを安く飲める居酒屋のような店舗も人気を集めている。

 蒼光街はリニューアルを機に「カードサービスセンター」で客の注文を受けるシステムの導入など、新たな試みもしている。

 客が3カ所に設けられた「センター」で17店舗のメニューから食べたいものを注文すると、コンピュータで各店舗にオーダーが入り、ここで受け取ったカードを目的の店に行って提出すると注文した料理が運ばれてくるというシステムだ。

 サービスや商品の改善、修正を繰り返すため、現在は昼夕2時間ずつしか営業していない。だが、運営が軌道に乗れば24時間営業に切り替えたいと考えているようだ。関係者は「誰がいつ来ても食べたいものがすぐに食べられる」ようにしたいと豊富を語る。「強盛大国」に必須の「最先端レストラン街」を目指している。

[朝鮮新報 2010.2.26]