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〈月間平壌レポート -10年6月-〉 同胞が体験した「平穏な日々」

緊張報道と現実との違い

 【平壌発=姜イルク記者】南朝鮮当局と米国による「天安」号沈没事件のねつ造以来、外国メディアでは朝鮮半島の緊張状態が伝えられているが、実際に平壌の地を踏んだ在日同胞らは拍子抜けしている。市内の様子からはそのような雰囲気をまったく感じ取れない。市民らは普段どおりの生活を送っている。

軍人との出会い

平壌市内の通り。市民らは平穏な生活を送っている

 市内を回ってみると、105階のホテルや10万世帯アパートなどあちこちで建造物の建設が急ピッチですすんでいるのがひと目で確認できる。街は早朝から出勤する市民でごったかえす。市民らは2012年に強盛大国の大門を開くことを目標に一丸となって励んでいる。

 また、朝鮮が44年ぶりの出場を果たしたW杯の話題で大いに沸いた。

 日曜日の大同江のほとりには、将棋や釣り、読書などに興じる老若男女の姿がある。バーベキューを楽しむ家族や肩を寄せ合う恋人たちの姿も見られる。平穏そのものだ。

 今年も日本各地の朝鮮高級学校生徒らが祖国を訪問しているが、ほとんどの生徒が宿泊先の平壌ホテルに着くなり従業員らの大歓迎を受け「緊張感はいっぺんになくなる」と話している。

 祖国訪問に先立ち、本人たちよりも保護者らが「戦争情勢」の朝鮮半島に子どもを送ることを心配したという。

 神奈川朝高の生徒は、「祖国の人民らはかえって日本当局の弾圧の中で暮らす私たちと総聯のことを心配してくれ、どこに行っても私たちを歓迎してくれた。朝鮮国内の雰囲気や明るくふるまってくれる人民の姿に不安はふっ飛んだ」と話していた。

 生徒らに祖国訪問で一番印象深かったことを聞くと、「軍人との出会い」だと口をそろえる。

 北と南が対峙している板門店にいる祖国の軍人は、最近、以前の軍帽からヘルメットに変わった。軍事境界線には確かに緊張感が漂っていたという。

 「祖国はわれわれが守る。安心して楽しく意義ある祖国訪問になることを願う」

 生徒らは、軍人のこの言葉がとてもありがたかったと話しながら、「世界のどの軍隊もこのようなことは言ってくれないだろう」「ここが私たちの祖国だということをあらためて思った」と感想を述べていた。

韓牧師の訪北

 歴史的な6.15共同宣言発表から10周年という節目を迎えた今年の6月、平壌は6.15共同宣言実践民族共同委員会の北、南、海外側が準備してきた民族共同行事で盛り上がるはずだった。しかし、南当局の妨害で実現されず分散開催となった。

 平壌では6.15発表10周年記念平壌市報告会と中央写真展などが行われた。

 南からの唯一の行事参加者は、韓国進歩連帯常任顧問の韓相烈牧師だった。「6.15を復活させるため」に12日、中国・北京を経由して北を訪問した。南当局の許可は受けなかった。国内で「南朝鮮の統一人士」(朝鮮中央通信)と紹介されている牧師は、訪れる先々で歓迎を受けている。

 牧師も朝鮮の平和志向を感じ取ったという。牧師は、22日に行われた内外記者との会見で、「北は本当に平和を渇望している。戦争の危機の中でも平和意志が明らかだということを今回も確認できた」と話した。

 朝鮮では「戦争情勢」の中、今年も延べ10万人が出演する大マスゲームと芸術公演「アリラン」が行われる。

 これは、100年の朝鮮民族史を描いた作品で、祖国の平和統一、世界平和を願う朝鮮の志向をアピールする。平和の大祭典としても広く知られている。

 現在、メーデースタジアム周辺や金日成広場などの各広場ではその準備が盛んだ。

 「アリラン」公演国家準備委員会の関係者は、「われわれは平和を愛する。平和と統一を妨害する者たちに核爆弾を落とすという気持ちで、公演成功のため奮発している」と述べながら、「一心団結の威力と高尚な平和、統一意志を全世界にアピールするだろう」と話した。

[朝鮮新報 2010.6.25]