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民主朝鮮論評 「平和保障体制の樹立が急務」

 民主朝鮮7月27日付は「平和保障体制の樹立が急務である」と題する次のような論評を載せた。

 朝米間に停戦協定が締結されてから57年が経過した。停戦は文字通り戦争の一時的な中断であって完全な平和を意味しない。

 この地で戦争の砲火がやんでからほぼ60年の歳月が流れたが、いまだに朝鮮半島には平和が訪れず、情勢は緩和するどころか、日増しに予測できない重大な局面へ突っ走っている。

 その要因は、米国の侵略戦争策動にある。米国は数十年間、南朝鮮を占領し、停戦協定を破壊した張本人である。米国は、停戦協定に背いて南朝鮮を極東最大の核兵器庫に変え、共和国に反対する軍事的挑発策動を絶えず強化し、情勢を緊張させた。

 米国は冷戦終息後、世界のほかの地域では武力を削減しながら、朝鮮半島を含むアジア太平洋地域では武力を系統的に増強し、新たな朝鮮戦争を起こそうと狂奔した。

 米国は「天安」号事件のような謀略劇をねつ造し、それを機に大規模な合同軍事演習を強行しながら情勢を極端な状況へ導いている。「天安」号事件のような謀略劇で朝米敵対関係が最悪の状態に直面し、朝鮮半島が瞬時に戦争直前の危機に陥った今回の事態は、現在の停戦体制の危険性と平和体制樹立の切迫性を再び想起させている。

 もし、偶発的な事件によて朝鮮半島で再び戦争が勃発すれば、その結果は20世紀の朝鮮戦争の時とは比べられないものになるであろう。諸大国の利害関係が複雑に絡んでいる朝鮮半島で核戦争が起これば、それは瞬く間に周辺諸国へ広がって世界的な熱核戦争に拡大されるであろう。

 こうした重大な事態を防ぐための根本方途は、一日も早く旧来の停戦協定を廃棄し、新たな平和協定を締結して朝鮮半島に強固な平和保障体制を樹立することである。

 われわれは、朝鮮半島の平和のために合理的で建設的な平和的方案を打ち出した。停戦体制を終息させ、恒久平和体制を構築するための実践的措置を講じることに関する10.4宣言が採択された。相互尊重と平等の原則に基づいて関係正常化と平和体制樹立などを実現するとした9.19共同声明のような重要な多国間合意も採択された。
 われわれは朝鮮戦争勃発60年にあたる今年に停戦協定を平和協定に替えるための会談を早急に始めることを停戦協定の各当事国に提案した。

 朝鮮半島の平和と非核化に向けたわれわれの重大な提案は、国際的な支持と歓迎を受けている。米国も、1993年の朝米共同声明を通じて朝鮮半島の平和と安全を保障し、相手の自主権を尊重して内政に干渉しないという原則に合意した。その翌年に発表された朝米基本合意文にも、わが国と米国の政治・経済関係を正常化するための具体的な方途が明白に示され、当時の米大統領は、保証書簡を通じて朝米基本合意文の各事項を引き続き履行していくことを公約した。

 とりわけ米国は、2000年10月の朝米共同コミュニケで、われわれに対して敵対的意思を持たないし、今後過去の敵対感から脱した新しい関係を樹立するために努力すると確言した。しかし、米国がわれわれと交わした合意はその履行が中途半端になったり、完全に反故にされてしまった。米国は、われわれの平和協定締結提案に背を向け、対朝鮮敵視政策を強行し、こんにちのような最悪の状況を招いた。

 朝鮮半島の非核化プロセスを再び軌道に乗せるためには、朝米間の信頼醸成に関心を払うべきであり、そのためには朝米敵対関係の根源である停戦状態に終止符を打ち、平和協定を締結しなければならない。

 平和協定締結は、ある一方が他方に恩恵を施したり、代価を払う問題ではない。それは、朝米双方を含む関係各国と国際社会に共に有益である。アジアと世界の平和と安全保障に積極的に寄与するであろう政治問題である。

 今こそ、米国が有名無実な停戦協定を平和協定に切り替えるための決断を下すべき時である。朝鮮半島問題を解決しようとする立場であるなら、米国にとっても平和協定締結は大きな障害にならない。

[朝鮮新報 2010.8.4]