top_rogo.gif (16396 bytes)

韓相烈牧師 板門店越え帰還

統一うたう北側、対決煽る南側

 【開城発=姜イルク記者】「韓国進歩連帯」常任顧問の韓相烈牧師が20日午後、板門店を陸路で通過し、南側に帰還した。白い民族服を着た韓牧師は、統一旗を掲げ「わが民族同士の統一平和万歳」を叫びながら、北と南を分ける軍事境界線を越えた。板門店には6.15共同宣言実践北側委員会の安京浩委員長、朝鮮キリスト教連盟中央委員会の康永燮委員長をはじめ汎民連北側本部、汎青学連北側本部の役員ならびに2カ月以上北側で案内をしながら生活を共にした関係者が集まり、韓牧師の帰還を見守った。

20日、板門店を通じて南に帰還する韓相烈牧師 [朝鮮中央通信=朝鮮通信]

 韓牧師は午後2時30分、板門閣に到着。200余人の開城市民たちの歓迎を受けた韓牧師は、板門閣の中で安京浩委員長を含む北側の関係者と談話しながら、北側に滞在した2カ月の日々を振り返った。

 別れの時が近づくと、板門閣の前では統一旗を振りながら歌う開城市民の「私たちは一つ」の歌声とともに、「わが民族同士」「祖国統一」のスローガンが響いた。

 韓牧師は開城市民の声に笑顔で応えながら、軍事境界線に向かってゆっくりと歩み出した。軍事境界線から数十bの場所で北側の関係者と一人ずつ握手して抱擁し、別れを惜しんだ。軍事境界線付近に立つと後ろを振り返り、「再び会いましょう」「力強くたたかってください」と叫ぶ人々に向かって何度もあいさつした。

 板門店の南側ではスーツ姿の国家情報院、統一部の要員と20人余りの憲兵が軍事境界線の前で待機していた。極めて威圧的な光景だった。

 それにもかかわらず韓牧師は、南側に向けて左手を高く掲げ「わが民族同士の統一平和万歳」を叫んだ。その瞬間、北側の人々の間で大きな拍手が上がった。

 数十センチ幅のコンクリートで作られた軍事境界線の上に立つと韓牧師は、再度北側に向けて統一旗を強く振った。

 韓牧師が南側に足を踏み入れた瞬間、国家情報院と統一部の要員が連行、北側からは憤激の声が上がった。北側では韓牧師の姿が見えなくなった後も統一旗を振りながら「わが民族同士」「祖国統一」「再び会いましょう」と叫び続けていた。

対決の場と化した板門店

 この日の板門店は、北南間の対決を印象づける場所となった。

 軍事境界線の北側では統一を願う歌が流れる中で韓牧師を見送った一方、南側は20人余りの憲兵隊を軍事境界線のすぐ近くまで配置し、物々しい雰囲気を演出した。

 とくに韓牧師が軍事境界線を越えた瞬間、国家情報院と統一部の要員は韓牧師の両腕をつかんで連行していった。今回、板門店で繰り広げられた光景は、李明博政権の反北政策を如実に表したものであり、かつては見られなかった行為だ。

 05年10月、「平壌参観団」として北側を訪問中に陣痛に見舞われ娘を出産したファン・ソンさんが板門店を越えて帰還した時には、彼女と子どもを看護する関係者が出迎えた。

 北南が厳しく対立していた1989年、林秀卿さんと文圭鉉神父が境界線を越えた時も、今回のように板門店付近まで憲兵隊が現れ威嚇することはなかった。

 また今回、北側からは多くの記者が韓牧師に同行し板門店で取材を行ったが、南側に記者の姿はなかった。統一部が現地での取材を許可しなかったからだ。

 6.15共同宣言を固守・履行し、平和統一のために北側を訪問した韓牧師を、北南対決を煽ることに利用する南朝鮮の現政権の行動は、すべての同胞からの糾弾を免れないだろう。

[朝鮮新報 2010.8.24]