社会科学院と社協の平壌討論会 関心事テーマに学術的なアプローチ |
【平壌発=姜イルク】社会科学院と在日本朝鮮社会科学者協会(社協)の第3回となる共同学術討論会が8月31日、平壌の人民文化宮殿で行われた。社会科学院側からキム・ジョンヨン副院長をはじめとする研究士らが、社協側から金和孝会長をはじめとする同胞識者らが参加した。討論会では現在関心を集めているテーマを中心に6つの論文が発表された。また哲学法律、歴史、経済の3分科に分かれ、学術交流が行われた。
憲法修正に関する見解
討論会では、先軍思想をテーマに討論が行われた後、社会科学院法律研究所のアン・チョンフン研究士が「朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法で修正補充された重要な内容について」というタイトルで論文を発表した。 社会主義憲法は1972年12月27日に公布され、1992年4月、1998年9月、2009年4月、2010年4月の計4回、修正・補充されている。 論文では、憲法の内容と条文上の構成で新たに修正補充した去年4月の最高人民会議第12期第1次会議について言及があった。 アン研究士は、昨年憲法を修正した趣旨は、国防委員会委員長をはじめとする軍事重視の国家機構のシステムを確立することで、「先軍革命偉業」の実現を法的にも確固なものにすることにあったと強調した。 このような趣旨から「国防委員会委員長の節」を新たに独立した形で設け、その指導権の重要な内容をはっきりと明記したと指摘し、憲法第100条で「国防委員会委員長は朝鮮の最高指導者である」と規定したことを紹介、説明した。 また国防委員会委員長が「国家の全般を指導する」という第103条1項の規定などを念頭に、その権限を新しく法化したと言及し、修正された憲法は国防委員会委員長が常設的な最高主権機関と内閣、すべての法機関に対する指導だけでなく、全国のすべての地域の発展に関連する指導、社会生活全般に対する指導を唯一実現できるように法的に裏付けていると発言した。 それ以外にも修正された憲法の構成と内容について詳細に説明。憲法が「先軍偉業」を遂行するための強力な法的手段として一新されたと強調した。 内外から見た朝鮮経済 討論会では、経済問題を扱った3つの論文が発表された。 社協中央常任理事である朝鮮大学校経営学部の朴在勲講座長は、「海外における社会主義経済研究の動向」というタイトルの論文を発表した。 論文の中で朴講座長は、朝鮮の経済状況を日本の経済専門家がどのように分析しているのかを、国家予算、エネルギー産業などの具体的な数字を提示しながら紹介した。そして朝鮮の経済に対し客観的に、また科学的にアプローチしようとする新たな研究の潮流が現れていると説明した。 社会科学院経済研究所のキム・ウンホ室長は、「現在のわが国における経済強国建設について」というタイトルの論文の中で、社会主義経済強国建設の目標は経済の主体性、自立性が徹底して保証され、新世紀の要求に合わせた近代化、情報化が高いレベルで実現された強力な物質経済的な土台をつくり、人民の衣食住問題を円満に解決し、生活水準を画期的に引き上げることにあると指摘した。またそれが現在、新たな高い段階で力強く進捗していることを、各分野別に客観的なデータを示しながら説明した。 社協中央常任理事である朝鮮大学校政治経済学部の李俊植講座長は、「最近の日本経済の成長構造の変化と新自由主義」というタイトルの論文を発表した。 その中で李講座長は、最近10年間の日本経済の成長構造が内需から外需に転換した過程を国内総生産に対する寄与度を通じて明らかにし、新自由主義的な経済政策が大企業、輸出企業を優遇する一方で、雇用条件の悪化をもたらしていると指摘した。 学術交流をさらに深め 金和孝社協会長は、共同学術討論会が在日朝鮮社会科学者にとって現在注目と関心を集めている先軍思想の独創性と生活力、新しい段階に入った強盛大国の建設などを科学理論的に深く論証し、その内容をより本質的に理解する重要な機会になったと話す。 討論会は社会科学院メンバーにとっても意義のある学術交流の場となった。彼らは在日同胞研究者たちの論文について、テーマの設定と記述の形式に特色があり、内容が豊富な論文だと評価した。そして社協との間で学術交流を引き続き深めていく意向を示した。 さる7月3日、東京で行われた社協第19回大会では社会科学院との学術交流と学問的連携をいっそう深めていくことを決定している。 社会科学院と社協の共同討論会は2005年8月、08年8月に続いて今回が3回目。金和孝会長によると、4回目となる共同学術討論会を2012年11月の社会科学院創立60周年に際して開催することに合意しているという。 [朝鮮新報 2010.9.15] |