〈Interview〉 ベネズエラ・チュチェ思想研究所 オマール・ロペス所長 |
「今後も朝鮮との関係発展を」 13日のチュチェ思想国際研究所定例研究会に出席したベネズエラ・チュチェ思想研究所のオマール・ロペス所長(ラテンアメリカ・チュチェ思想研究所副理事長)に、ベネズエラでのチュチェ思想研究活動、朝鮮とベネズエラとの関係などについて話を聞いた。
−ベネズエラでのチュチェ思想研究の歴史について。 わが国でのチュチェ思想研究活動は30年あまりの歴史がある。独裁政権時代には、多くの人びとが朝鮮がどこにあって、どんな国なのかも知らなかった。58年の独裁政権崩壊後、社会主義に関心を持つ人びとによって朝鮮研究が始まった。 60〜80年代にかけて、米国に追従しようとする勢力に対抗する人びとが登場した。社会主義を目指し、他の社会主義国に学ぼうという動きが芽生え始めた。その過程で、首都カラカスを中心にチュチェ思想に関する学習活動が始まり、全国各地に波及していった。 現在はカラカスをはじめ各地に研究組織や連帯団体があり、大学にもチュチェ思想講座が設けられている。国会議員をはじめ政治家の中にも研究者がいる。私自身も、在籍する大学で朝鮮について教えることになり、88年から研究活動を始めた。 −朝鮮とベネズエラとの関係に関する見解は。 国交はあるが、ベネズエラには朝鮮大使館がない。駐キューバ大使がベネズエラ大使を兼ねているため、キューバを通して朝鮮側と連携をとっている。外交に関する実務ではこのような「特殊」な側面があるが、両国はよい関係にある。 05年、「21世紀の反帝、自主に関する世界会議」がカラカスで行われた。朝鮮代表団も出席し、チャベス大統領と楊亨燮団長との会見が実現した。 また、民間レベルでも医学やテコンドー、卓球などのスポーツ交流を通じて多くの人びとが朝鮮について知るようになった。ここ数年は毎年大学の教授や学生らが朝鮮を訪問している。 国内には「朝鮮との親善国会議員の会」やベネズエラ−朝鮮親善協会などの団体が活動している。 両国は米国という共通の敵を持っている。チャベス大統領は朝鮮人民の友人だ。大統領の政策に具現された理念とチュチェ思想との間には共通項があるようだ。金日成主席や金正日総書記は、他国のやり方を模倣せず自国の実情に基づいて政策を立てる必要性を強調しているが、大統領も同じ考えを持っている。また、国防の問題でも共通点を見出せる。 −朝鮮半島情勢に対する見解は。 まず何よりも、朝鮮は必ず一つにならなければいけない。朝鮮半島の統一は世界の平和のためにも必要なことだ。 なぜ朝鮮は2つに分断されているのか。端的に言えば、米国がそのような状況を必要としているからだ。朝鮮が強い存在になれば、米国の横暴に歯止めをかけることができる。一方、われわれも米国とたたかっていく力を必要としている。ベネズエラと朝鮮は地理的には遠く離れているが、思想的には非常に近いものがあると感じている。 −ベネズエラはどのような方向で国づくりを進めているのか。 わが国は地理的に米国に近く、親米国家コロンビアに隣接している。中南米の入り口に位置し、石油やガス資源も豊富だ。そのため、歴史的にさまざまな面から米国の影響を受けてきた。今やベネズエラは米国にとって好ましくない国に変わりつつある。石油資源を自国の発展に利用するという政策をとるチャベス大統領は米国にとって目の上のたんこぶになっている。 チャベス大統領は貧しい人びとのためにたたかっている。政権発足後、貧困層のための政策が推進され、教育、文化、スポーツなどの面でも大きな発展が遂げられた。 −今後の両国関係およびチュチェ思想研究の展望について。 昨年、ベネズエラ駐在朝鮮通商代表部が設立された。今後も代表部と密に連絡をとりあっていきたい。 現在、2012年の金日成主席生誕100周年に際して大型代表団を派遣する準備を進めている。また今月26日には、金正日総書記の生誕記念日に際して全国セミナーを開催する。セミナーでは朝鮮との医療、スポーツに関する協定も調印される予定だ。 チュチェ思想の研究、普及活動がますます盛んになっているということ、そしてその過程で朝鮮との親善、連帯の気運も高まっているということを強調したい。(李相英記者) [朝鮮新報 2010.2.19] |