緊張高める米国の「砲艦外交」 |
安保理議長声明に反する合同軍事演習計画 国連安全保障理事会は南朝鮮の哨戒艦沈没事件と関連して議長声明を発表した。声明は朝鮮半島の懸案問題を「適切なチャンネルを通じた直接対話と交渉を再開し平和的に解決すること」を奨励した。しかし今回の事件を北東アジア戦略実現に利用しようとしている米国は朝鮮半島周辺の軍事的緊張を高める動きを見せている。
西海で「対潜水艦訓練」
哨戒艦沈没事件を「北の仕業」と断定し、国連安保理に問題を提起した米国と南朝鮮当局は、その一方で朝鮮を「仮想敵」にした合同軍事演習を計画した。 米軍と南朝鮮軍は哨戒艦沈没事件に関する「調査結果」の発表(5月20日)直後、事件が起きた朝鮮西海で対潜水艦訓練を合同で行うと発表した。しかし国際社会で「調査結果」に対する疑惑が広がり劣勢に立たされる情勢が生まれると、合同演習の実施は延期された。7月初旬の時点では安保理での議論を見極めた後に最終決定するとの立場を示していた。 当初の計画では連合対潜水艦訓練に第7艦隊所属の原子力航空母「ジョージ・ワシントン」と核潜水艦、イージス艦などが参加することになっていた。 今回の事件の舞台となった朝鮮西海は偶発的な武力衝突が起こった場合、戦争に拡大する可能性が高い。朝鮮側は原子力航空母を西海に移動させる計画について、米国が哨戒艦沈没事件を北東アジアにおける自国の軍事的プレゼンスを示威するために利用しようとしていると非難している。 朝鮮の国内メデイアは米国が朝鮮西海で「砲艦外交」の展開を画策していると指摘している。過去にも米国は戦争の危機を煽ろうとする地域に空母を出動させてきた。1960年代のプエブロ号事件の時も、米国は朝鮮東海上に航空母艦を展開、朝鮮人民軍がスパイ船を拿捕したことに対する「報復」を行うと威嚇した。当時、朝鮮側は「報復には報復で、全面戦争には全面戦争で」というスローガンを掲げ、徹底抗戦の体制をとった。 中国に対するけん制 朝鮮西海を舞台にした米国の「砲艦外交」には中国に対する圧迫、けん制の意図もあると指摘されている。日本の横須賀に配備された航空母艦「ジョージ・ワシントン」の作戦半径は数百キロメートルに達する。すなわち台湾海峡と中国南海までを軍事行動水域として想定している。 米軍は南朝鮮軍との連合対潜水艦訓練を実施した場合、「ジョージ・ワシントン」が独自に活動し、訓練終了後も朝鮮西海に留まるとの「構想」を示したことがある。ブッシュ政権はアフガニスタンとイラクで「反テロ戦争」を行い、中東と中央アジアに対する米国の軍事的支配権を確立した。オバマ政権は哨戒艦沈没事件を米国が北東アジアで「力の優位」を保つための軍事行動のきっかけにしようとしている。 米国の軍事演習構想に対しては中国も反対の立場を明確に示している。中国外務省の秦剛報道官は8日の定例会見で「中国は外国の軍艦と軍用機が黄海(朝鮮西海)と中国近海に侵入し、中国の安保利益に影響を与える活動を行うことに対し、決然と反対する」との立場を表明した。 哨戒艦沈没事件と関連した安保理議長声明が「(懸案解決のための)直接対話と交渉の再開」を奨励したことに対して朝鮮側は「平等な6者会談を通じて平和協定と非核化を実現するための努力を傾けていく」(外務省スポークスマン)との対応を見せた。米国に戦争挑発の口実を与えないために「哨戒艦沈没事件の真相を最後まで究明する」との立場も示している。 それと関連して朝鮮側は、朝米将官級会談開催のための大佐級実務接触を米国側に提起した。(永) [朝鮮新報 2010.7.14] |