「天安」号事件最終報告書 南の市民団体が国政調査促す |
「疑惑解消には不十分」 南朝鮮国防部は13日、「天安」号沈没事件最終報告書を公開した。南朝鮮各界からは、「その間提起された数々の疑惑を解消するには不十分」との声が上がっている。
4カ月前と同じ
南の「民軍合同調査委員会」はさる5月20日、「天安」号沈没事件の調査結果を発表し、北の魚雷の水中爆発によるものだと指摘した。それから約4カ月ぶりに公開された国防部の最終報告書の内容は当時の発表と同じだ。シュミレーション資料と関連写真が補完されてはいるが、全般的には、「数々の疑惑を解消しようとする努力が足りない」(13日、連合ニュース)という評価を受けている。 最終報告書は、事件の概要、沈没要因の判断の結果、分野別細部分析結果、結論、付録の5章から成っている。 この報告書には、合同調査に参加した米国、英国、オーストラリア、スウェーデンの4カ国の調査チーム責任者が調査結果に同意すると署名しているが、スウェーデンは自身が関与した部分に同意するとし、制限付の同意にとどまっている。また、5月20日の発表後、現地を訪れ独自の調査を行ったロシア側の調査結果は含まれていない。 また、「北犯行説」の「決定的証拠」として提示された魚雷の残骸がはたして「天安」号を爆破させた魚雷の残骸なのかという問題が明確にされていない。その魚雷が北で製造された「CHT−O2D」だと断定する根拠となった「北の兵器カタログ」も公開していないし、魚雷推進体に書かれた「1番」のインクが北のものだということも立証していない。
打ち切った会見
国防部はこの最終報告書を発刊した13日、記者会見を行った。 国防部関係者は苦しい説明に追われた。 発見された魚雷の残骸が事件前から存在したという疑惑を解消するため、合同調査団は「腐食加速化試験法」を用いて明確な結果を出すとしていた。ところが会見では、「依頼した専門家に不可能だという答えをもらった」「肉眼で見ればたぶん誰でも分かるだろう」と答弁した。水中での残骸の腐食具合を分析して、いつ頃から残骸が事件現場付近に存在したかを明らかにすることは、疑惑解消の基本であるにも関わらず、「不可能」という結果を出した。 また、「天安」号に付着していた爆薬成分が魚雷の推進動力装置から検出されなかった問題では、今回も「幾度も試みたが、検出能力の限界もあって検出されなかった」と述べた。 会見では、疑問点に関する記者の質問が相次いだ。 しかし国防部側はすぐに会見を打ち切り、追加質問に対しては廊下で「個別取材」の形式で答えた。 各団体が声明発表 韓国進歩連帯、平和と統一を開く人びと、民主民生平和統一主権連帯、参与連帯などの市民団体は、最終報告書発表翌日の14日にそれぞれ声明を発表し、「最終報告書は核心的な問題提起に対し明確な答えも、関連資料も提示していない」「調査結果の信頼性をさらに低下させた」などと指摘。そろって国政調査の実施を主張した。 とくに参与連帯は、国政調査権を行使し、国会で徹底した検証作業を行うと同時に、真相究明のプロセスを慎重に進めるべき事件を政治目的に利用した点、国会の承認なしに国連安保理に問題提起した点などを総合的な観点で評価する作業もなされるべきだと強調した。 15日に国会議員会館で行われた民主党国会議員主催の専門家たちによる緊急討論会では、報告書に事件当時「天安」号の航跡関連記録がまったくなかったり、交信記録の全容が公開されないなどの問題点が指摘された。そして、この討論会でも、国政調査の必要性が強調され、大統領の決断を促した。 16日には、韓国進歩連帯など44の市民団体で構成された「『天安』号事件真相究明と朝鮮半島平和のための共同行動」(以下「共同行動」)が、国政調査を求める書簡を朴熺太国会議長に送った。同時に国政調査を求める6万4506人分の署名も提出した。 これに先立ち記者会見を行った「共同行動」は、「70%以上の国民が『天安』号事件に関する政府発表に不信を抱いている。国会が真の国民の代表機関なら、早急に国政調査を実施すべきだ」と促した。(姜) [朝鮮新報 2010.9.24] |