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釜山で南主導のPSI、北 全面対決の宣布と反発

自衛隊も動員

 南朝鮮は13、14の両日、釜山沖で日本の自衛隊まで引き入れて「大量破壊兵器拡散防止構想」(PSI)訓練を大々的に行った。これは南が主導する初のPSI訓練であり、同時に朝鮮半島海域で初めて実施された訓練となった。

口実は「天安」

釜山沖で行われた臨検訓練 [写真=聯合ニュース]

 PSIとは、核兵器や生物化学兵器などの大量破壊兵器およびその関連物資の拡散防止を目的に2003年、米国の主導で発足した国際協力体制だ。米国、英国、ドイツ、フランス、日本などG8諸国を中心とする15カ国が中心的な役割を果たしている。

 南朝鮮は2005年にオブザーバーとして参加。PSIの8つの協力項目のうち、5つの分野に限って協力するなど、部分的に関与するとの立場をとってきた。

 しかし、対北強硬と「韓米同盟」強化を掲げる李明博政権は、全面参加へとかじを切った。

 昨年4月の北の人工衛星発射を口実に、同年10月シンガポールで行われた訓練に人員を派遣した。当時は軍事装備は動員しなかった。

 今回は、「天安」号沈没事件を口実に、軍事装備の動員はもちろん、訓練を主管するに至った。

ソウルの日本大使館前で日本のPSI訓練参加に反対する市民団体メンバー [写真=統一ニュース]

 南当局は艦船沈没事件を受けて、今年5月24日、「5・24措置」と呼ばれる「独自の対北制裁」を発表した。報復の性格を帯びたこの措置の一環としてPSI訓練を主管することを決定した。

 日本の自衛隊も参加するとあって、南朝鮮内ではPSI訓練実施に反対する世論が高まった。すると、訓練の直前になってこの火消しに追われた。国防部関係者は、「海上遮断訓練は核や大量破壊兵器の疑いがある物資を運搬していると疑われる船舶を停船させ、検索する方式で行われる。訓練が北などの特定国家を狙ったものではない」と釈明した。

 これは言い訳に過ぎない。

 PSI発足の経緯からしても、PSIは朝鮮に対する封鎖と圧力に大きな目的を置いていると言える。02年12月、米国がスペイン軍とともに、イエメン付近の公海を航行中だった朝鮮の貿易船に対して「核物質密輸」の嫌疑で臨検を行った事件が、発足の必要性を正当化する根拠の一つになっているからだ。

 北は、南主導のPSI実施に対して、「われわれに対する全面対決の宣布であり、北南関係を戦争の瀬戸際へ追い込む妄動」(祖国平和統一委員会書記局報道、15日)だと激しく反発している。

光仏門広場で自衛隊参加のPSIに反対する市民 [写真=統一ニュース]

 長らく凍りついていた北南関係は、北の主動的な努力によって、赤十字人道問題解決のための対話の扉が開かれ、離散家族の再会事業が推し進められるなど、良好に発展する兆しが見えている。

 このような時に、南当局が米国はもちろん、日本まで引き入れてPSI訓練を実施したことに対して北側は、「対話も北南関係も平和も眼中になく、ただ同族対決と北侵野望だけが満ちていることをはっきり示している」(同上)と不快感をあらわにしている。そして、「われわれは対話と平和を願うが、侵略者が戦争を強いるなら侵略者の牙城を丸ごと粉砕する」と警告した。

 一方、これに先立ちワシントンで米国・南朝鮮定例安保協議会が開かれ、「急変事態」を意味する「不安定事態」という文言を初めて取り入れながら、核兵器を含む各種のピンポイント攻撃兵器と最新の核戦争装備で北を先制攻撃するための「拡大抑止政策委員会」を新設するなど、きわめて挑発的な「共同声明」を発表した。

 外部勢力と結託しながら同族対決の道に突き進もうとする南当局によって、朝鮮半島情勢に緊張の暗い影が押し寄せている。(姜)

[朝鮮新報 2010.10.20]