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東京で国民協会シンポ 朝鮮問題 「理性的な政策を」

 日朝国交促進国民協会シンポジウム「拉致問題と最近の北朝鮮情勢」が8日、約100人の参加のもと、東京・千代田区の日本教育会館で行われた。第1部では「拉致問題を考え直す」、第2部では「最近の北朝鮮情勢」と題して専門家らが語り合った。第1部で発言者らは、拉致問題進展のカギについて「これまでの政策の検証」「理論的な思考」などをあげた。(写真)

 日朝国交促進国民協会(会長=村山富市元首相、以下国民協会)は、08年12月から09年4月まで8回にわたって連続討論「拉致問題を考える」を行い、この問題の解決に真剣に取り組んできた。

 その講演や討論をもとに、書籍「拉致問題を考え直す」(青灯社)が9月30日に刊行された。

 シンポジウムの第1部は、書籍のタイトルと同じく「拉致問題を考え直す」と題して行われた。執筆者である被害者家族の蓮池透さん、元公安調査庁部長の菅沼光弘さん、ジャーナリストの青木理さん、牧師の東海林勤さん、国民協会理事の和田春樹・東京大学名誉教授の5人がパネリストとして登場した。

 蓮池さんは、拉致問題解決につながらない打算なき対朝鮮経済制裁に触れ、「政府の毅然とした態度はウケが良い。しかしこの先どうするのかビジョンがない。完全に思考停止状態に陥っている」と指摘。日本政府には理性的な政策を、メディアには理論的な報道を注文しながら、これまでの政策の検証と総括がなされるべきだと主張した。そして、核とミサイルとは違い、拉致問題は日朝固有の問題だとしながら、交渉する方策がないとまた歳月だけが流れると指摘した。

 菅沼さんは、日朝の政府間交渉が途絶えている今のやり方では拉致問題は解決できないとしながら、日本政府が拉致の解決なしに国交正常化はないと2つの問題をリンクさせ、問題解決を難しくしていると指摘した。また、相手国の朝鮮に対してもっと知るべきだとし、戦略的で理性的に対応することの必要性を述べた。

 青木さんは、これまで日本社会全体が被害者意識にかられ、思考停止状態になっていることに危ぐを表した。

 東海林さんは、拉致被害者の心の苦しみについて話しながら、このような心境にかこつけて拉致政権まで登場したことは恥ずべきことだと述べた。

 和田さんは、9月29日から10月2日までの訪朝時に朝鮮外務省の朝・日国交正常化交渉担当大使と面談した際、「拉致問題においてできる限りのことはやった。複雑化させたのは日本であり、これは日本が解決すべきだ」とする大使の発言を紹介した。

 シンポジウムの第2部では、国民協会理事の小此木政夫・慶応大学教授、小牧輝夫・国士舘大学教授、和田春樹名誉教授がパネリストとして登場。小此木さんは朝鮮労働党代表者会の解説、小牧さんは朝鮮経済の動向、和田さんは訪朝の印象などについて話した。(姜イルク)

[朝鮮新報 2010.10.22]