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観光再開 「検討中」繰り返し、直接対話避ける南当局

 北側は、北南関係改善に向けて粘り強く南側に働きかけている。北側は、観光再開を「北南関係改善の重要方途」(労働新聞15日付)と見なし、これに関する当局会談の開催を再三呼びかけている。ところが、南側は1カ月以上も「検討中」という言葉だけを繰り返したあげく、17日、会談開催の「条件」として、面会所などの南施設に対する没収、凍結措置の解除など、観光再開が決まらなければ実現されない要求を先に持ち出した。

3度目の提案

離散家族再会の正常化のためにも観光事業が再開されなければならない(写真は今年10月末から行われた離散家族の再会、撮影・文光善)

 北の名勝地総合開発指導局は11日、南の統一部に通知文を送り、観光再開問題に関する北南当局間実務会談を19日に開催することを提案した。会談を早急に開催することを呼びかける通知文を送ったのは、10月2日、14日に続き、今回が3度目となる。

 南側は、10月12日に「今後立場を通報する」と北に知らせて以来、何の返答もしていなかった。

 今回の通知文に対しても、南当局者は「協議と検討が必要だ」「現時点で方向性に対して話せる状況ではない」とし、返答を見送っていた。17日になって通知文を北に送ったが、それは会談開催の新たな「条件」を示したものだった。

 当局間実務会談は、観光再開を話し合う場であり、当然、施設運営問題も含まれる。

 これから話し合う問題を「条件」として突きつけるのは、結局、会談を破たんに追い込むためのものだと見られる。

 そもそも、10月1日に行われた3回目となる北南赤十字接触で、離散家族の再会を無条件で行う一方、観光再開問題に関する当局会談は北が提起したら南が検討するという線で妥結した経緯がある。

10月末に行われた北南赤十字会談 [写真=統一ニュース]

 この経緯からしてみても、南は誠意をもって観光再開問題に取り組むべきだが、逆に会談を破たんに追い込んでいる。

 南当局は「離散家族再会の定例化という人道問題と観光再開問題は別個の問題」としているが、これはき弁に過ぎない。

 離散家族再会の場所が閉鎖されていては「再会定例化」に支障がある。再会事業を正常に行うためには、面会所運営などの措置が先行されなければならない。

 南当局が本当に人道問題に関心があるなら、何よりも北南関係改善に進むべきだ。

 離散家族は祖国分断の産物だ。北南間の人道問題はこの特殊な北南関係を抜きに考えられない。歴史的にも、北南関係が良好なときに離散家族再会の機会が増え、不信と対決の緊張状態のときは人道問題も進展しなかった。

 北のメディアは、南側が「再会定例化」を主張していることに対して「根本問題を棚上げにした言葉あそびに過ぎない」(11月7日、「わが民族同士」)と指摘している。

南の決断促す

 10月26〜27日に行われた北南赤十字会談で双方は、北南間の赤十字人道事業に関連して相互の関心事となる懸案を引き続き協議していくことにした。

 会談で北側団長は、「誠意には誠意で応えるべきだ」としながら、「機会はいつでもあるものではない」と、関係改善に向けた南の決断を促した。

 双方は次回会談を11月25日に開くことで合意した。

 名勝地総合開発指導局は今回南に送った通知文で、観光再開問題に関する北南当局間実務会談が「離散家族・親せき再会の正常化のためにも早急に必要」だとしながら、「会談が開かれれば、25日に行われる北南赤十字会談にも有利な雰囲気がもたらされるであろう」と指摘した。

 この指摘は、会談が開かれなかった場合には赤十字会談にも悪影響があるという警告とも解釈できる。

 今年9月に入り、北の積極的な措置によって北南対話と接触が行われ、1年ぶりとなる離散家族再会も行われた。しかし南側は関係改善に実に消極的だ。

 改善のきざしが見えた北南関係にまたも暗雲が垂れ込んでいる。(姜)

[朝鮮新報 2010.11.19]