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鬱陵島−柳致環−

東方の遙か
深海線の向こうに浮かぶ
ひと粒の島 鬱陵島へ我行かん

錦繍の如くうねり連なる
長白山の頂ひと粒 飛び跳ね
切なげな国土の末子なる
君のうら寂しき姿となったのか

蒼茫たる湾に
いまにも消えてしまいそうな
憂いを湛え浮びながら
東海に吹く藍色の風に
何時となく思念の頭をきれいに洗われ

明けても暮れても
陸へ陸へと向かう恋しさに、
絶え間なく漣む風浪に身を乗せ
打ち寄せられて来るやもしれず

遙か祖国の社稷の
混沌たる便り 聞こえて来るたび
幼き心の及ばぬ無念
ああ、なんとも切なる思いよ!

東方の遙か 
深海線の向こうに浮かぶ
ひと粒の島 鬱陵島へ我行かん

(柳致環詩集「鬱陵島」1948年・行文社)

 リュ・チファン(1908〜67)

 詩人。慶尚南道統営生まれ。號は「青馬」。1931年に「文藝月刊」に詩を発表し登壇。詩集に「青馬詩集」「生命の書」「鬱陵島」などがある。(選訳・金栞花)

[朝鮮新報 2010.2.1]