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若きアーティストたち(72)

現代美術家 金明圭さん

 幼い頃から絵が上手だとほめられた。自らも「絵」に何かしらのアイデンティティーを、そして表現することに魅力を感じていたという。成長するにつれ、いつかデザインなどアートに携わる仕事をしたいと思うようになっていった。

 高級部卒業後、アートの勉強をしようと決心。地元での進学先も決まっていたが、東京のアートシーンに興味を抱き、朝鮮大学校の美術科に進学した。

 アートを学び、制作していく過程で「日本よりもっと広い世界が見たい」と、アートシーンが盛んだった上海へ、大学を中退し思い切って海を渡った。

 2年近くを先輩アーティストとともに上海で過ごし、創作活動や展示会に積極的に参加した。また、アートの技術のみならず、マーケットの流れも見てならってきた。

 昨年10月、日本に戻り、2月に京都で「0000(オーフォー) Gallery」をオープン。ギャラリーは、金さんを含む在日のアーティスト2人と、日本人のアーティスト2人がオーナーとして運営、さまざまな角度からアートシーンを創りあげていくことを目指している。

 創作活動を繰り広げながら、アート産業を盛り上げようと、ギャラリーの運営に力を入れている。「アートで生活していくには、その分野の産業が活性化されなくては。創作活動を幅広く展開させたいからこそ、産業に力を入れる」「もちろん、アーティスト活動は重要。しかし、アートシーンがあって、アーティストがいる。創作活動とその状況作りを同時に進めていきたい」と意欲的に取り組む。

CLEARX CLEAR(アクリル、デジタルプリント、2009年)

 アーティスト名は「Kim okko」−「okko」は昔から家族や友人に親しまれている呼び名であり、性別がわかりにくく、誰にでも覚えられやすいようにとつけた。

 本格的にアートに携わり4年目になる。コンセプトは、「在日」をテーマにしたものが多い。

 作品群を覗いてみると、4メートル長の朝鮮の国旗をクレヨンで描いたもの、色とりどりの顔料を凍らせキャンバスの上で解凍させ色が交わっているもの、白頭山の頂上を背景に架空の生物がたたずんでいるものなどがあった。

 学校やニュースなどで見聞きする「朝鮮」や「在日同胞社会」と、家族や友だち、恋愛など身の回り、個人レベルの「在日」を重ね合わせ、模索、葛藤する日々。「在日とは?」「自己とは?」−「在日」というカテゴリーのなかで自己と向き合い、その答えを探し続ける。

 創作意欲は、自分を承認されたいということから生まれるが、それによって家族や友人、また違う誰かに刺激や影響を与えられると考える。「今はまだ力を蓄えているときだが、多様なカタチでいろんな人の力になりたい。たとえば、今、朝鮮学校に対する『高校無償化』法案の是非が問題となっているが、そのような問題にも有名になることで力添えになると思う」。

Ice painting(アクリル、キャンバス、2010年)

 「アートは、直接会話をしなくても、作品を通じてコミュニケーションを取れるのが最大のポイント。さらに、言葉や文章には起こせない思いも、アートでは表現できるのもおもしろい」と、その魅力を語る。

 今後は、「自身と向き合いながら、ブラッシュアップしていきたい。『彼ならやってくれる』という周りの期待に応えるためにも、覇気を持って前に進んでいきたい」と、アグレッシブな姿勢を見せる。(姜裕香記者)

※1988年生まれ。西神戸朝鮮初級学校、神戸朝鮮初中級学校、神戸朝鮮高級学校卒業。08年朝鮮大学校教育学部美術科中退。「Kim okko」として活躍。同年3月〜09年10月上海でアートを学ぶ。10年2月、京都に4人が共同運営する「0000 Gallery」をオープン。過去に上海、東京・新宿、六本木などでの展示会に出品。

[朝鮮新報 2010.5.17]