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第2回チャリティーコンサート「ほうせんかの夕べ」

追悼碑建立 「ここからがスタート」

李政美さんと小室等さんによる「鳳仙花」

 関東大震災時の朝鮮人殉難者追悼碑(東京・墨田区八広)の建立を記念して、同実行委員会の主催による、第2回チャリティーコンサート「ほうせんかの夕べ」が6月26日、東京・曳舟文化センターで行われた。

 午後3時に開演のチャイムがなり、歌手・李政美さんのアカペラで幕が上がった。

 出演に1960mamoru&tomyが「草野球だぜ! ベイベー」など、オリジナル曲数曲をアコースティックギターと歌で披露した。

 続いて、おにくうどんえこと、遠藤久仁雄さんが明るいトークと、同氏オリジナルの「フンフン花粉フン」などユニークな歌詞と演奏で会場を沸かせた。

 杉ちゃん(ピアノ)&鉄平(バイオリン)はクラシックの常識を破って、他の曲を織り交ぜながら新たな楽曲を作って楽しむのがコンセプト。クラシック曲、「美しく青きドナウ」と「火曜サスペンス」のテーマ曲をアレンジしたり、パトカーのサイレン音など、物まね作品集を披露すると、客席から「ブラボー!」の声援と拍手が沸き起こった。

 2部では、オープニングに「追悼碑 誕生」の映像がスクリーンに流れた。

 同コンサートの主催者であるグループほうせんか・西崎雅夫代表はあいさつで、「大勢の方々の協力のおかげで追悼碑を建てることができ、こうやってコンサートも開くことができた。過去の事実がどんどん風化していく中で、追悼碑が大きな役割を果たしているが、やっとスタートラインに立ったに過ぎない。世代を超えてもっともっと広げていけるよう頑張っていきたい」と述べた。

mamoru&tomyが「草野球だぜ! ベイベー」を熱唱

 李政美さんは、お馴染みの曲「京成線」にアリランを交えて美しく歌い上げ、観客を魅了した。「初、中と朝鮮学校に通ったので、授業でも関東大震災について習ったが、ビデオ『隠された爪痕』を見て当時の残酷な歴史をもっと知ることができた。いつか、荒川の河川敷で大きなコンサートをやりたい。そうやって歴史を伝えていきたいと思う」と話した。

 フォーク歌手・小室等さんは李さんと数曲共演したあと、「大きなメディアで流れるニュースがすべてだと思われがち。しかし、小さなメディアに実は大事な情報が詰まっている。常にアンテナをはらないといけない。今日この会場に来たのもその一つだ」と述べ、反戦歌「死んだ男の残したものは」などを歌った。

 フィナーレでは出演者全員による「出発の歌」を観客と共に歌い、民族打楽器演奏で会場は盛り上がり公演が終了した。

 新宿から来た工藤文恵さん(58)は今回はじめて参加した。「震災時は貧富の差や朝鮮人に対する差別が当たり前にあるような異常な状況だった。今では当時と違った形で在日の方々に対する差別が残っているが、これからはこのようなコンサートなど文化交流を通じて、仲良くしていけたらいいと思う」と話した。

参加者全による「出発の歌」でフィナーレを飾った

 「平和憲法を守る荒川の会」共同代表・森本孝子さんは、会場にブースを設け22日、東京・日暮里のサンパール荒川で開かれる朝鮮高級学校への無償化適用を呼びかける下町集会への賛同を、来場した人々に呼びかけていた。「朝鮮学校にだけ無償化が適用されていないのは許せない。国民の『やっぱり朝鮮学校は違うんだ』という負の意識をさらに強めることになってしまう。これは私たち日本人の問題でもある。集会にはできるだけ多くの人を呼び込みネットワークを広め、もっと朝鮮学校のよさを知ってもらいたい」と熱く語った。

 公演終了後、西崎代表は「去年行われた第1回目のコンサートの時にはまだ追悼碑が建てられていなかったので、建立に向けての熱気に包まれていた。今回はやっと追悼碑が建てられたという長年の願いを実現したという感動が込められたアットホームなコンサートになった」と、満足そうに話した。

 一方、この日コンサートに先立ち、同会場・第1会議室ではビデオ「隠された爪痕」が上映された。このビデオには、関東大震災時の朝鮮人虐殺の目撃証言や元軍人であった人々の生々しい加害証言、さらに82年9月に荒川河川敷で行われた犠牲者の遺骨発掘作業などが収録されている。(尹梨奈記者)

[朝鮮新報 2010.7.2]