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サンチュの間引き

朝方に雨が降ったのか
晴れやかな日差しの下
サンチュの葉が雫をくわえて立っている
ぽろりん−
転がり落ちようか、やめようか、
迷う雫を引き留めようと
ぷるるっ、と震える

チョウチョも腰を下ろして行き
五月の雲も立ち止まって行ったのだろう
儚い風にも掴まれたのか
葉が歪み、窪みも深い

早春の
願いを含んだ
双葉はとっくに剥れ落ちて
その葉を踏んでニョキッ、と立ち
ぐんぐんと世界に手を伸ばす
胸がキュン、と痛むほどに愛らしい
サンチュの新芽を間引いてゆく

※サンチュ=チシャ(萵)。レタスのような葉野菜。

(「野花の沈黙」2009年7月 本の木出版社)

 リ・スノ

 京畿道金浦・水南初等学校教諭。幸州文学会事務局長。

(選訳・金栞花)

[朝鮮新報 2010.8.9]