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朝大第31回定期演奏会 約700人が観覧

受け継がれる名曲「鴨緑江」

 朝鮮大学校第31回定期演奏会が13日、東京・渋谷にある国立オリンピック記念青少年総合センターで行われた(主催=朝鮮大学校)。多くの同胞と、お茶の水女子大学の米田俊彦教授、二松学舎大学の芹川哲世教授、立教大学の山田昭次名誉教授をはじめ日本市民ら、約700人が会場に足を運んだ。

不屈の精神込めて

カンターター「鴨緑江」

 公演には70人の朝大管弦楽団、約100人の合唱団(朝大合唱部、教育学部音楽科などの学生ら、金剛山歌劇団声楽部、女性同盟西東京本部オモニコーラスサークル、卒業生など)が出演した。

 第1部は、同大学吹奏楽部の合奏「思郷歌」、「オーディナリーマーチ」で幕をあげ、女声合唱「あじさい」、民族器楽重奏「ヘダンファ(はなます)」が披露された。最後には、同管弦楽団による演奏、朝鮮の代表的民謡「アリラン」と、迫力ある金管楽器のファンファーレで始まる「すばらしき我が祖国」より第3楽章が演奏された。

 2部では朝鮮を代表する詩人・趙基天(1913〜51)が作詞した全4楽章からなるカンタータ「鴨緑江」(金玉成作曲)が披露され、拍手喝采のなか幕を閉じた。

 この日、息子の舞台を楽しみに家族4人で名古屋からやってきた金俊守さん(53)は、「学生たちが頑張っている姿を見ていると力がわいてくる。楽器演奏、歌も素晴らしく、とくに『鴨緑江』を聴くと血が騒ぐ思いだった。やっぱり朝大生は違う。名古屋でも演奏会を開いてほしい」と語った。

 日朝協会東京都連合会の吉田博徳会長は、素晴らしい公演に大変感動したと前置きしながら、「今日も『鴨緑江』を楽しみにやってきた。在日同胞の祖国に対する熱烈な愛情、統一に向けた迫力あるエネルギーに圧倒された。今年は『韓国併合』100年の年だが、その間日本がしてきたことをまったく知らない日本人が多い。正しい歴史認識を共有し、日朝間の平和の流れをもっと広げていきたい」と話した。

 朝大管弦楽団学生責任者の嚴勇和さんは、「今年は練習期間にあらゆる行事が重なりどうなるか不安もあったが、みんなで一つの音楽を奏でることで、同胞たちの力になりたいという一心で練習に励んできた。演奏会のために協力してくれた多くの人たちに心から感謝している」と述べた。

再びこの舞台で

朝鮮の名曲を場内に響かせる朝大楽団と合唱団(写真はいずれも朝大・金賢哲氏提供)

 77年12月の初演奏会から今年で31回目を迎えた同定期演奏会。第2回から毎年演奏されてきた「鴨緑江」は朝大関係者、同胞音楽ファンにとって特別なものであり、音楽以上の意味を持つ。日本の植民地時代、国を奪われ、言葉も文化もすべてを失った絶望の中から、祖国解放の道へと勇敢に立ち上がっていく朝鮮民族の勇士たちの姿を描いたこの大曲は、どんなに時が流れても色あせることなく同胞たちの心を熱くする。

 一時は「鴨緑江」を演奏しない年もあった。その途端に各方面から「なぜやらないのか。『鴨緑江』を聴かずに年は越せない」との声が上がった。5年間の空白を破って2年前から復活したこの名曲は、日本人にとっても「聴けば自然と涙が出る」ものだという。

 その名曲をもう一度歌いたいと長野からやってきた蔡成子(48)さんは、今年朝大を卒業する2人の娘とともに舞台に上がった喜びを語った。「学生時代に出演したこの舞台に久しぶりに上がることができてうれしい。同時に、娘たちにこの曲の不屈の精神が脈々と受け継がれていることにも喜びを感じている。『鴨緑江』を歌うと達成感に満ち溢れ、明日への元気と勇気をもらえる」と話した。

 蔡さんの長女である経営学部4年の李尚実さんと、次女で教育学部音楽科2年の李永実さんは「31年間、とぎれることなく演奏会を続けることはたやすいことではない。その伝統ある舞台に立てて光栄に思う。これからも朝大生を中心にこの民族の名曲を歌い継いでいってほしい」と思いを語った。(尹梨奈)

[朝鮮新報 2010.12.20]