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〈私たちのうた〉 鐘の音−鄭華水−

ひと度 撞けば
長々と 長々と
遠く− 遠くまで
殷々と響き渡る 鐘の音

真っ暗に夜が更けるほどに
ひと際切々と告げるように
胸の内へと沁み入る
神秘の響き

あらゆる異変を人々に知らせ
時刻や年明けも知らせる鐘の音
人類がはじめて鳴らしたのは
数千年前の警鐘であった
悪魔払いのための 警鐘

年が過ぎ 時代が替わり
新世紀 新たな千年代を迎える
送旧迎新の分岐点
ここで人類は
果たしてどのような鐘の音を
鳴らすべきなのか

文明と野蛮が交差した二十世紀
地球村の隣人たちを 
いちばんひどく傷つけ
何よりも貴い人々を
いつになく多く殺戮した
殺人の結節点
二十世紀を見送りながら

この世の邪悪は
旧世紀の灯籠に乗せて流し
無念にも逝ってしまった者たちに向け
冥福を祈る 鐘を鳴らしたい
心に残る者たちに向け
称賛の 鐘を鳴らしたい

鬼どもを 外国勢力を全て追い出し
北と南と海外同胞が 共に目覚める鐘
和音を奏でながら
互いに引き寄せ抱きしめ合う
世紀の鐘の音を鳴らしたい

平等と平和、平穏を叫びながら
希望を胸に届けてくれる
そのような鐘を
私たちは 鳴らしたい

 「鐘の音 詩人集」(04年チョンソリ詩人会)

 チョン・ファス(1935〜2009・12・1)

 釜山廣域市生まれ。1956年東京朝鮮高級学校を卒業。58年朝鮮大学校文学部(当時)を卒業。東京朝鮮第一初中級学校教員を務め、朝鮮新報社編集局副局長、文芸同中央委員長などを歴任。2000年に「チョンソリ」詩人会代表となる。詩集「永遠の愛、祖国の懐よ」がある。(選訳・金栞花)

[朝鮮新報 2010.12.20]