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〈第89回全国高校ラグビー大会〉 大阪朝高 堂々のベスト4

プレッシャーはねのけ新しい歴史創造

 大阪朝鮮高級学校ラグビー部が「第89回全国高等学校ラグビーフットボール大会」で初のベスト4という快挙を成し遂げた。1972年の創部以来、「全国大会」でのベスト4入りという新しい歴史を創造した。昨年度の覇者・常翔啓光学園を破っての「全国大会」出場で注目が集まる中、選手たちはプレッシャーに負けることなく、最後まで朝高ラグビーを貫き通し、3位という成績を残した。

破竹の快進撃

ゴール前のモールからトライを決めた呉泰誠主将(対桐蔭学園戦)

 大阪朝高は、昨年12月30日に行われた初戦の新潟工業高校戦を50−0で完勝。1日には、初のベスト8進出をかけて国学院大学久我山高校(東京第1)と対戦した。

 開始直後の前半1分、大阪朝高は金勇輝選手がゴール中央にトライ。ゴールも決めて7−0とし、相手の出鼻をくじいた。前半17分には、相手ゴール前でのモールから金寛泰選手がトライに成功した。

 22分には相手の猛攻からトライとゴールを許すものの前半を12−7で終えた。

 後半に入っても久我山は攻撃の手を緩めなかったが、大阪朝高は低く速いタックルと粘り強いディフェンスで波状攻撃をしのぎきった。後半ロスタイムには、相手のミスからペナルティーゴールを得て、これを朴成基選手がしっかりと決め、15−7と相手を突き放したところでノーサイドのホイッスルが鳴った。

 試合後、呉英吉監督は「関東の横綱・久我山との対戦が初のベスト8進出をかけた試合となった。選手たちには新しい歴史を創ろうと呼びかけた。全員でつないでいく朝高ラグビーを貫くことができた」と述べながら、「選手たちは大会の間に大きく成長した。最後の5分の猛攻を、それぞれの役割を自覚し早いタックルなどでしのげたのが勝因だ」と語った。

声援を送る同胞、生徒たち

 呉泰誠主将は初のベスト8進出に、「みんなで『新しい歴史を創ろう』と声を掛け合って心を一つにして戦った」と喜びをかみしめながら、「今日勝てたのは僕たちだけの力ではなく、各地から駆けつけてくれた同胞たちの応援があったから。同胞たちの期待に応えられるよう、次の試合でも朝高らしいラグビーを見せたい」と決意を語った。

 3日に行われた準々決勝では、流通経済大学付属柏高校(千葉)と対戦。前半8分にトライを奪われ、今大会初めて先制を許したものの、徐々にペースを取り戻して相手の攻撃をしのぎ、前半終了間際の26分に朴鐘圭選手がトライ。ゴールも決めて7−5と逆転して前半を折り返した。

 後半に入って完全にペースを取り戻した大阪朝高は、相手の猛攻に慌てることなくしっかりとディフェンス。22分には金尚浩選手が追加のトライを決めて12−5と突き放し、ベスト4進出を果たした。

 5日に行われた準決勝では、桐蔭学園高校に7−33で敗れたものの、堂々の3位という成績を残して今大会を終えた。

「力と勇気与えてくれた」

大会3位を獲得した大阪朝高ラグビー部

 同校の金淳附Z長は、「選手たちは全国の朝高の代表として堂々と戦い、同胞たちに力と勇気を与えてくれた」と感想を述べた。

 大阪朝高ラグビー部OB会の金衛会長は、「すべての在日同胞の代表だということを忘れずに、頑張ってくれた」と選手たちを讃えた。

 OB会の朴成基さんも、「本当によくやった。昨年度の覇者を破った学校として、チームワークでその実力を遺憾なく発揮してくれた」と話した。

 選手の父母たちも、「ベスト8を飛び越えて、ここまで連れてきてくれて感謝している」「試合に出られなかった他の選手たちが一緒に喜んでいる姿から多くのことを学んだ」などと語った。

 大阪朝高の高蘭香さんと姜貴瑛さんは、「残念だったけど、とても感動した。ラグビー部は、大阪朝高の誇りだ」と述べた。

 呉泰誠主将は試合終了後、「『史上最弱』と言われてきた自分たちが、ベスト4になれたことが本当にうれしい。2年生の多い若いチームなので、来年はまた新しい歴史を創ってくれるだろう」と後輩たちにエールを送った。(本紙取材班)

[朝鮮新報 2010.1.6]