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1966年W杯ベスト8メンバーら 朝鮮男子代表に期待

「精神力、団結力で千里馬サッカーを」

 【平壌発=李泰鎬記者】W杯に出場するサッカーの朝鮮男子代表と、ベスト8に輝いた1966年イングランド大会当時の朝鮮代表を比較すると、共通項がある。厳しいグループに入ったという点、そして高い精神力と固い団結力が脈々と息づいているという点だ。

強豪を歓迎

 昨年12月初旬、W杯本大会の組み合わせ抽選会が南アフリカで行われた。朝鮮はグループGでブラジル、ポルトガル、コートジボワールとの1次リーグに臨むことになった。

 1966年大会でベスト8を経験したメンバーらは、強豪との対戦を歓迎している。

 「当時、朝鮮のベスト8進出を誰も予想していなかった。朝鮮がイタリアに勝つと思っていた人が、どれだけいただろうか」と振り返る。

 44年前、FWとしてイタリア戦で決勝ゴールを決めたパク・トゥイクさん(73)は、「本大会に出場する32チームはすべて強豪。44年前もそうだったが、W杯で1勝するということは、たやすいことではない。どのグループに属しても同じだ。それなら、最強と呼ばれるチームと対戦したいもの」だとほほ笑む。

 ベスト8チームのセンターバック、リム・ジュンソンさん(70)も「恐れる要素はない。むしろ強いチームと対戦するほうがいい。サッカーは試合をしてみないとわからない」と語る。

 精神力と団結力、強力なディフェンスでアジア予選を突破した現代表チームがベスト8チームの伝統を受け継いでいるばかりか、チームの潜在力は非常に高いと往年の名選手らは話す。

 リムさんは、サッカーはいかに強い精神力を90分間保つかが勝敗を決めると指摘し、とくに相手が個人技に頼ったり攻撃にばかり集中すれば試合を優位に進められる機会が増え、「必ず勝たなければ」「得点しなければ」と相手が焦れば焦るほどカウンターのチャンスが幾度も訪れるという。

伝統を継承

 ベスト8チームのメンバーは当時、他チームに比べ、技術、身体能力、戦術面で朝鮮チームは劣っていたと振り返る。しかし、精神力と団結力はどのチームにも負けていなかったと自負する。

 ソ連(当時)との初戦は、0−3で負けた。しかし、世界レベルのチームと対戦し、チームの団結力はより固まったという。

 チリ戦では先制された。しかし、終了間際にパク・スンジンさんがチーム初得点となる同点ゴールを決め、決勝トーナメント進出の可能性をつないだ。

 そして優勝候補のイタリア戦に臨んだ。一進一退の熾烈な攻防戦のすえ、朝鮮はイタリアの堅い守備をこじ開け、パク・トゥイクさんが得点し、守りきった。

 技術や戦術を超越した精神力、団結力による勝利−これこそが世界を驚かせた「千里馬サッカー」の真髄だった。

 60年代、千里馬の気概で国家を建設した朝鮮は、サッカー競技において、他国を倣わなかった。自国で磨いた技術のみで勝負した。パク・トゥイクさんは、「千里馬サッカー」とは、千里馬作業班運動が始まった降仙製鋼所労働者の気概、集団主義の精神であると強調する。

 当時の代表チームと現代表チームは、技術、戦術面において差はあるが、精神力と団結力という「千里馬サッカー」の伝統は受け継がれているとベスト8メンバーらは指摘し、世界はふたたび驚くだろうと話す。

予想→有利

 朝鮮のサッカー解説者、リ・ドンギュさん(73)は、グループGの対戦相手について「個人技を駆使して試合を進める傾向のあるのが共通点だ」と述べ、朝鮮が強固なディフェンスで相手の攻撃を抑えれば、90分の間に得点機は訪れると話す。

 「とくに、朝鮮以外の3チームがグループ1、2位になるだろうと周囲が予想し、その期待が高まるほど、朝鮮にとっては有利になる。一般的に(相手が格下の場合)強豪チームは先制ゴールを狙って攻撃偏重になる傾向がある。相手が必ず勝たなければと焦って攻めてくればくるほど、朝鮮は(カウンター主体の)試合をしやすくなる」

 その一方でリさんは、朝鮮がディフェンスに重点を置き消極的な試合を展開すれば、勝利の可能性は低くなると指摘した。

[朝鮮新報 2010.1.6]