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神奈川で講演会〜大阪朝高ラグビー部快挙の秘訣〜

呉英吉監督「血尿が出る直前まで練習」 次はズバリ優勝めざす

講演会には東京朝高ラグビー部の部員20余人も参加した

 「第89回全国高校ラグビーフットボール大会」でベスト4に入るという歴史的快挙を成し遂げた大阪朝鮮高級学校ラグビー部呉英吉監督の講演会が、14日、神奈川県民活動サポートセンターで開かれた。総連神奈川県本部の鄭喜Q委員長、崔哲・神奈川体協会長、李相運・西東京体協会長をはじめ会場いっぱいにつめかけた170余人が熱心に耳を傾けた。

 講演会に先立ち、主催者を代表してあいさつに立った崔哲会長は、「大阪朝高ラグビー部のこのたびの快挙は、在日同胞とウリハッキョの存在を日本中に轟かせたもので、われわれに大きな勇気と力を与えてくれた」と称えた。

 万雷の拍手のなかで登壇した呉監督はまず、「今回すばらしい成績を収めることができたのは、ひとえに大阪はもとより全国各地の在日同胞とウリハッキョの父母たちの力強い励ましと支えがあったからだ」と深い感謝の気持ちを表わした。

 監督は72年に創部以来初めて花園でベスト4という好成績を収めた今回のチームについて、「チームを牽引した呉泰誠主将をはじめとする高3の13人の部員らが、中学から高1に上がった当時は『史上最弱』と呼ばれ、彼ら自身もそう言われても仕方がないと諦めていた」と振り返った。

 そんな『史上最弱』チームの当時の状態は「まとまりがなく、人に気配りできない、失敗すると人のせいにする」者ばかりだった。そんな彼らのやる気を引き出し、めきめき力をつけさせたのは、「血 尿が出る直前まで」取り組んだ飽くなき練習だったという。

ボクシング日本フェザー級王者の李冽理選手が花束を持って駆けつけた(写真左から李冽理選手、呉英吉監督、呉泰誠主将、李孝玟前副主将)

 さらにスター軍団と呼ばれる下級生たちの入部も彼らの負けん気を呼び起こし、1年余で彼らのレベルアップに成功していった。「他校との練習試合で常にノルマを与えた。死にもの狂いで練習に取り組めとハッパをかけ、精神的に追い込んでいった」と呉監督。そればかりではない。授業中の態度を改め、勉強にもしっかり取り組むこと、ウリマルをきちんと使うことを習慣づけるなど朝高生としての生活を決しておろそかにしてはならないことを気づかせるようにした。

 「結局は、子どもたち自身が自らの力で考え、判断していくためには、何を気づかせるかが大事である。朝鮮学校の生徒として、同胞社会ひいては民族の未来を切り開く人材として成長しなければならない。そのために、ラグビーを通じて何を主体的に学ぶのか」

 こうした監督の期待に応えるかのように選手たちはめきめきと実力をつけていった。「吸収力の高さと飲み込みの速さはどの学年にも負けなかった。話し合い練習しながらラグビーに熱中していった。誰かに強制されるのではなく、自らの強い意志で励むようになった。主将の泰誠がよく口にする『逆境を楽しむ』という言葉は、このような経験が土台になっていると思う」と呉監督は振り返った。

 そんな中で生まれたのが大阪朝高ラグビー部の10カ条。@ラグビー第一主義A道徳を大事にする。あいさつをきちんとして、返事をしっかりとするB常に感謝の気持ちを持つ。ラグビーができること、学校、父母、OB、マネージャー、部員に感謝の気持ちを持つCトンム、先生、自分を信じ、練習を信じるD練習に全力E時間厳守F部室をきれいに掃除し、ラグビー用具を大事にするGチームで行動するときは自分を優先してはならないH主将の言葉は絶対であるI朝高ラグビーを継承し、創造、発展すること。

 チームを一つにまとめる支柱がこうしてできあがった。新しい歴史を創造する道、そして「頂点」への道のりについて、選手たち自身が考えて得た一つの成果だった。

 呉監督は、さらに躍進の要因として、「子どもたちを信じて鍛えるだけ鍛えてほしい。流した汗と涙の分だけ人は大きく成長するわけだから」という父母たちから寄せられる絶大な信頼をあげた。

 講演会に監督とともに出席した大阪朝高ラグビー部の呉泰誠前主将は、「この間には、大阪朝高運動場明け渡し裁判があったが、僕たちはこの裁判を闘い、また支援を寄せてくれる父母、同胞、多くの日本の人たちを力づけるためには、ただ試合で結果を出すことだと考え、ひたすら頑張り抜いた」と述べた。また、李孝玟前副主将は、「やり残したのは、花園での優勝。この目標は後輩たちがきっと勝ち取ってくれる」と語った。

 すでに府の新人戦で優勝を飾った大阪朝高ラグビー部新チーム。4月28日から5月5日にかけて、福岡でサニックス2010ワールドラグビーユース交流大会が行われる。この大会への出場が決まっている同校の目標は「ズバリ優勝することだ」と語った呉監督に会場からは惜しみない拍手が送られた。(朴日粉記者)

[朝鮮新報 2010.2.23]