全国選抜大会で準優勝 進化を続ける大阪朝高ラグビー |
高まる花園への期待 ラグビーの第11回全国高等学校選抜大会(1〜7日、埼玉・熊谷ラグビー場)に出場した大阪朝鮮高級学校ラグビー部が準優勝に輝いた。花園でのベスト4を超える成績を収めた大阪朝高は進化を続けている。内外の関心も高い。
「高校ラガーマンらしい」
呉英吉監督は選手たちに「全国の朝高、同胞の代表として、そして近畿と大阪の代表としてのプライドをもって試合に臨もう」と言い聞かせてきた。選手たちもそれを自覚し、実行に移した。 「花園ベスト4」の肩書きはプレッシャーにもなりえた。しかし、「ぼくたちが活躍することで民族教育の素晴らしさを伝えられる」(金寛泰主将)、「全国の同胞の期待に応えたい」(朴成基選手)という使命感がプレッシャーをはねのけた。そして、「うぬぼれは朝高生らしくない」(権裕人選手)といった謙虚な姿勢、ベスト4に満足しない向上心がチームを進化させた。 今大会、大阪朝高の選手たちは物おじすることなくのびのびとプレーした。そして練習どおり、バックスがしっかり守り、立ってプレーし、パスでつなぐ、「朝高伝統のラグビー」を追求した。紳士的でひたむきな姿は観客を魅了した。 観戦した同胞たちは「よくやった」「力をもらった」と選手を称えた。大会関係者は「高校ラガーマンらしいプレー」と評価した。 一つになったチーム
選手たちは府予選、近畿予選を含め全国大会決勝戦まで全11試合をたたかった。この過程を振り返り、呉英吉監督は「チームが試合ごとに成長した」、金寛泰主将も「チーム内のコミュニケーションが活発になり、チームがまとまって強くなった」と手応えをつかんだ。 チームの団結力を誇示したこんな場面があった。 準決勝の流経大付属柏高(千葉)戦の後半。17−0とリードしたものの、思わぬファウルで一人の選手が7分間の退場(sin bin)を命じられた。強豪相手に14人でたたかわなければならない厳しい状況に追い込まれた。 金寛泰主将(3番)はこの場面をこう振り返った。 「退場した選手は走りたくても走れない。彼が戻ってきたときに点差を詰められていたら申しわけない。だから14人で15人分走ろうと言い聞かせた」 ピンチに立たされても大阪朝高の選手たちは落ち込むことも、受け身に回ることもなく、「前に前に」打って出た。そして、一人少ないながらも「あわやトライ」というところまで攻め込んだ。これを間近で見ていたある大会関係者は「(勝敗は)決まった」とつぶやいた。その言葉どおり、試合は20−5で大阪朝高が勝利した。 この場面について、7分をやり過ごすための作戦などの指示をしなかったのかと質問する記者がいた。それに対し呉英吉監督は「ペナルティーで時間を稼いだりすることは、はなから教えていない。高校生らしく立ってプレーし攻めるよう指導している」と堂々と答えた。 このとき一時退場した金志顕選手(6番)は、「60分間、攻守にわたり暴れまくる選手になりたい」と話していただけに、あせりを感じていた。だが、主将から「大丈夫、落ち着け」と言われ、冷静さを取り戻した。「プレーに戻ったら全力で走ろうと思った。それまでチームはしっかりたたかってくれると信じていた」と振り返った。
「共に花園目指そう」
大阪朝高の選手の多くは中級部時代から共にラグビーに励んできた。「言い合いもするけど最後まで納得するまで話し合う」という。その過程でラグビーの真髄と言える「one for all, all for one」の精神が培われた。 進化する大阪朝高の今大会での集大成は決勝戦だった。最後まで勝利を目指し走り続けた姿が観客を感動させた。大会関係者も「歴史に残る名勝負だった」と高く評価した。 優勝した東福岡の監督は「毎年そうだが、大阪朝高は当たりが強い。守りでリズムを作り、自分たちのラグビーをしていた」と評価した。 大阪朝高の選手たちは、「東福岡とたたかってみて差は感じなかった。勝てない相手ではないとわかった」という。「全国準優勝チーム」が冬の花園までにどのようなチームに成長するのか、ラグビー関係者の興味は尽きない。 大会を振り返り、呉英吉監督は「いろんな学校と対戦し、共に汗を流し学んだ。ラグビーを通じた交流の有益性をあらためて知った」と語った。 表彰式が終わり両校の選手、監督らは固い握手を交わし健闘を称え合った。そして肩を組みながら記念写真に納まった。 「次は勝ってみせる」 「共に花園を目指そう」 花園という共通の目標を目指す新たなたたかいはすでに始まっている。(取材班) [朝鮮新報 2010.4.14] |