〈2010W杯〉 安英学、鄭大世 W杯で歌った「愛国歌」 |
民族教育が生んだ朝鮮代表の柱 【ヨハネスブルグ発=李東浩記者】民族教育を受けて育った在日同胞選手たちが朝鮮代表の中心選手として、サッカーW杯に出場した。在日同胞選手のW杯出場は史上初。選手たちは「サッカー王国ブラジルを相手に大健闘」(英国人記者)する活躍を見せた。 15日夜(日本時間16日早朝)、南アフリカ・ヨハネスブルグのエリスパークスタジアムで44年ぶりにW杯に出場した朝鮮代表とブラジル代表との試合が行われた。 多くの国の記者と観衆が日本で生まれ育った在日同胞選手たちに注目した。 試合前の国歌斉唱。鄭大世選手の頬を大粒の涙が流れた。日本をはじめアジアの記者たちは「大世が泣いている」と驚きつつ、彼を見守った。 「感無量だった」。試合後、鄭選手はこう振り返った。子どもの頃からサッカー選手を目指し、その道をまっすぐ走り続けた十数年の出来事が脳裏をよぎり、自然と涙がこみ上げたという。 鄭大世選手はしばしば「今回のW杯出場により、ウリハッキョの後輩たちに道が開かれた」と語ってきた。試合後もこんなメッセージを託した。 「後輩たちが、胸を張って朝鮮人として生きていってほしい」 鄭大世選手は、自らが歩んできた道の正しさ、民族教育への感謝の気持ちを南アフリカの地であらためてかみ締めていた。 南アフリカの民族楽器ブブゼラのけたたましい音が鳴り響くスタジアムは、世界最大のスポーツ祭典を楽しむ観客の熱気であふれていた。今大会を心待ちにしていた安英学選手は、最高の舞台で最高の相手と対戦できた喜びを熱く語った。 朝鮮学校出身の彼もまた、サッカーの最高峰に位置する強豪ブラジルとの初戦に祖国の選手たちとともに出場することができた喜びを感じていた。そしてチャンスを与え支援してくれたすべての人びとに感謝した。 「もはやW杯は夢でなくなった。在日同胞選手が出場したからだ。ウリハッキョに通う子どもたちの具体的な目標、希望になった」 安英学選手はW杯初戦を終えて涙を流した。彼の熱い思いを知る選手団の関係者たちはその姿を見て、ただ黙って涙を浮かべていた。 [朝鮮新報 2010.6.18] |