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〈2010W杯〉 朝鮮サッカー 飛躍の可能性−下−

W杯出場で得た新たな自信、トップレベルまでの距離感

 W杯で朝鮮代表は貴重な経験を多く積んだ。世界のレベルを体で痛感した。試合に敗れた選手たちは2010年の教訓を踏まえ、これからもW杯に堂々と出たいという気持ちを話していた。

南アでの1カ月間

ブラジル戦での得点に喜ぶ朝鮮の選手たち

今大会で新たな自信を得た選手たち

 約1カ月間、朝鮮代表は南アフリカで世界のサッカーを体感した。開幕戦(南アフリカ対メキシコ戦、6月11日)が行われたとき朝鮮代表はヨハネスブルグ郊外テムビサのマクロンスタジアムで練習中だった。大会初ゴールの際、開幕戦が行われたサッカーシティースタジアムからのブブゼラ(南アフリカの伝統楽器)の音が練習場まで聞こえてきた。W杯に対する人々の注目度、その舞台の大きさを実感させた瞬間だった。

 「44年ぶりのW杯」、朝鮮国内だけでなく外国メディアも「千里馬サッカー」の「復活」について語り、期待感を募らせた。世界が注目する中、堂々たる姿でピッチに立った選手たちがつかんだものは多かった。グループリーグ3試合すべてで世界の強豪とのリアルな実力差を確認した。それと同時に、集団力という千里馬サッカーの伝統的な戦術、近年取り入れた新たな強化策が世界に通じるという自負心を持つことができた。

 選手たちは、いまある実力を発揮した。ブラジル戦後、ムン・イングク選手は「自分たちの力を出し切って十分やりあえた」と振り返った。世界に挑戦し、トップレベルまでの距離感を感じた。そのような経験が、今後の朝鮮代表の方向性を示していく。

 今回、南アフリカで戦った選手たちの目には、決勝トーナメント進出という壁の高さが、どのぐらいのものなのかがはっきりと見えている。これはW杯出場の大きな意義だ。

 朝鮮が克服すべき課題は多い。W杯での対戦、その緊張感のなかで得た自信、強豪とぶつかり合い学んだものが、4年後に必ず生きてくる。

指揮官が見た未来像

朝鮮サッカー飛躍の可能性について語ったキム・ジョンフン監督

 W杯出場によって朝鮮サッカーがさらなる飛躍を実現するためのヒントを得た。朝鮮代表のなかで、もっとも未来への明るい希望、展望を見出したのは、キム・ジョンフン監督だろう。

 W杯で朝鮮が8強を達成した1966年、10歳だったというキム監督は、当時の代表チームの姿を見てサッカー選手を志すようになった。選手時代はDFとして活躍。07年11月の監督就任後、現在の堅守速攻型を確立してきた。そして悲願のW杯出場。千里馬サッカーの復活のため誰よりも悩んだが、彼は他の誰よりも、現在の朝鮮が大きく飛躍する可能性を感じていた。

 朝鮮は今後、どうすればよいのか。キム監督は次のW杯までの展望について明快にこう話した。

 「最後まで目的を果たすために自分のすべてをかけてよく走る、そういう良い面が朝鮮にはある。今後、攻撃と守備の戦術的なバランスをしっかりと保ち、個の能力をより高めていけば、朝鮮が世界の舞台で頭角を現していくだろう」

 GKリ・ミョングク、DFリ・ジュンイル、リ・グァンチョン、パク・チョルジン、チャ・ジョンヒョク、チ・ユンナム、MF安英学、パク・ナムチョル、ムン・イングク、FWホン・ヨンジョ、鄭大世。千里馬サッカーの伝統を受けつぎ南アフリカのグラウンドに立った11人の選手たちだ。

 そして彼らとともに、今大会、途中出場を果たした選手たちがいる。MFキム・クムイル(ブラジル戦後半35分〜、ポルトガル戦後半13分〜)、MFキム・ヨンジュン(ポルトガル戦後半13分〜)、DFナム・ソンチョル(ポルトガル戦後半30分〜)、FWチェ・クムチョル(コートジボワール戦後半22分〜)。若い選手たちも今大会では、しっかりとつかんだものがある。

 「2014年大会にも出場しなければならない。それが僕たちの任務だと思うから」。今後の活躍に期待がかかるFWのチェ・クムチョル選手の不敵な笑いは、先輩たちからしっかりとバトンを受けつぐ自信の表れのように見えた。(李東浩記者)

[朝鮮新報 2010.7.12]