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春・夏・秋・冬

 中日両国の有識者による歴史共同研究委員会は1月31日、06年から行ってきた共同研究の結果をまとめた報告書を発表した。報告書は、中日戦争を日本の侵略行為と認める一方、南京大虐殺の犠牲者の数については共通認識を得ることができず、併記する形で収まった

▼報告書の発表を受け、平野官房長官は1日、「史実は史実としてどう受け止めるかは大事だが、政治は未来志向に求めていかなくてはならない」と述べた。過去の清算問題を巡って日本の政治家がよく「未来志向」という言葉を口にするが、その真意がどこにあるのかは朝鮮を植民地支配したことに関する対応を見るかぎり、言葉の響きとは裏腹にそれほど良いものではないようだ

▼この共同研究はそもそも、小泉純一郎首相(当時)の靖国参拝を機に悪化した中日関係の打開を図る目的で安倍政権が提案し、スタートしたものだ。にもかかわらず日本のメディアは、「政治体制の違い」により同じ土俵で議論することは無理だったという論陣を張っている。体制の違いよりも歴史認識の隔たりにこそ根本的な問題があるのではないか

▼中国側は「従軍慰安婦」問題や「731部隊」についても、「日本軍は慰安所を設け、強制的に多くの女性を性奴隷とした」「人体実験、生体解剖を実施」したと強調したが、日本側は詳しい説明を避けた

▼過去のことにはふたをして、これからは前を向いていこうという意味での「未来志向」では誰も納得しない。日本が被害国との隔たりを埋めようと努力しないかぎり、何の解決にもつながらない。(国)

[朝鮮新報 2010.2.3]