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春・夏・秋・冬

 高校無償化の対象から朝鮮学校を除外しようとする政府内の動きに乗じて、民族差別を助長するような無責任な発言が飛び出してはならない。学校関係者や保護者は、同じ気持ちであったはずだ。今回の事態が子どもたちの安全を脅かすような世論誘導につながることを危惧していた

▼大阪には多くの在日朝鮮人が住む。同じ地域に暮らす「隣人」の感情を逆なでするような「暴言」を地方自治体の責任者がメデイアに振りまくことは、あってはならない。朝鮮学校を「拉致問題」と結びつけたり、他国を「暴力団」と呼ぶ大阪府知事の会見は、深刻な問題をはらんでいる

▼それは「反論」以前の問題だ。「過去にも朝鮮半島情勢を口実に一部の心無い人により、生徒たちに対する暴言、暴行が繰り返された」−学校関係者や保護者は、日本の社会に間違った行動を誘発するような雰囲気があってはならないと警鐘を鳴らしていた

▼無償化問題に自分の思想や信条を反映させようとする人々がいる。大阪府知事は、民族性を学ぶ生徒たちに「国家」「組織」の「構成員」としてのレッテルを張ろうとする。それを「言葉の暴力」と受け止める人がいるとは考えないようだ。テレビカメラを向けられ政治用語で語りだすと、生徒たちが泣いたり笑ったりする生身の人間だということを忘れてしまうのだろうか

▼現在の知事は「人気者」なのだそうだ。発言の影響力を考えれば「軽率でした」では済まされない。私人と公人の責任範囲を理解できないようでは、メディアで自論を語る資格はない。(永)

[朝鮮新報 2010.3.5]