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春・夏・秋・冬

 日本に強制連行された朝鮮人約17万5千人分の未払い賃金などの供託金に関する資料が、日本政府によって南朝鮮政府に提出された。日本政府は07年にも旧軍人軍属朝鮮人11万人分の供託金記録を南政府に提出している。南当局は、これらの資料によって被害が立証された申告者に対し支援金を支給する

▼被害者や遺族にとっては、新しい資料によって支援の可能性が開かれた。しかし、南日両当局が問題をわい小化し「解決」に導こうとしていることを指摘せざるをえない。なぜ今になって資料が提出されたのか。「日本に賠償を請求しないことを条件に、資料や被害者の遺骨が南当局に提供されている」という指摘もある

▼南当局は、日帝強占下強制動員被害真相究明委員会を通じて約22万件の被害申告を受け支援を行っているが、立証不可能などの理由で約10万8千件が未処理のままだ。にもかかわらず、支援が主な業務となる新委員会を設置し、真相究明委をそこに縮小統合させた

▼祐天寺(東京・目黒)に安置されている朝鮮人遺骨の返還などに見られるように、南日両当局は真相究明を軽視している。真相究明、謝罪と賠償、再発防止措置がまったく行われないまま、石ころのようなものを返還しただけで問題の解決を印象付けようとしている

▼今回の資料のうち約30%は、朝鮮半島北部出身者に関するものだというが、それらについては完全に無視されている。財産請求権放棄の国家間合意が、個人の請求権まで放棄させるものではないということを確認しておく。資料提出は償いの始まりにすぎない。(天)

[朝鮮新報 2010.3.29]