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春・夏・秋・冬

 西海で起きた艦船沈没に関するニュースに、デジャビュ(既視感)を見るという人が少なくない。すでにどこかで体験したことのように感じるということだ。数年前、日本でも事件の真相を隠し責任をなすりつけることで、朝鮮敵視を煽るという劇場型政治が演出された

▼2回目の小泉訪朝を受けて拉致問題の再調査が実施され、被害者の遺骨が返された。日本政府は「ニセモノ」と断定したが、その鑑定内容に科学的根拠はなかった。対朝鮮強硬策に舵を切った日本は、その後、6者会談の場で孤立することになる

▼支持率低下に喘ぐ李明博政権は、艦船沈没という緊急事態に直面して「北関連説」に傾いた。しかし証拠は示していない。軍・民合同の調査団が活動しているが、メンバーの総数や民間人比率などは明らかにされていない。米国側の調査協力に関しては、南側の同意なく結果を発表しないという「覚書」が取り交わされたという

▼すべては「藪の中」という筋書きを疑ってしかるべき時に、メディアが権力の意向に沿って情報を垂れ流したとすれば由々しき事態だ。「ニセ遺骨」で世論をミスリードした日本のマスコミは、今回も「北関連説」が「定説」であるかのように報じた

▼対立をいたずらに激化させると、そのうち李明博政権も身動きできなくなる。「報復」の主張と結びつく「北関連説」は、平和を志向する国際政治の流れとは相容れない。金正日総書記が中国を訪問した。朝鮮半島情勢が動き出せば、対決路線から抜け出せない政権は、苦しい立場に追い込まれるに違いない。(永)

[朝鮮新報 2010.5.10]