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春・夏・秋・冬

 「天安」号沈没事件をめぐる多国間外交が本格化しそうだ。朝鮮の国連代表が安保理議長に書簡を送り「国防委員会検閲団の派遣」に関する措置を講じることを求めた

▼検閲団の目的は「北の魚雷攻撃」を沈没原因と断定した「調査結果」の確認だ。南は検閲団受け入れを拒否したまま事件を安保理に提起し「対北決議」採択を画策したが、逆手を取られた。15の理事国が一方の主張だけに偏るとは限らない。嫌疑をかけられた被害者が「証拠を示せ」と訴えるのは正当な権利の行使だ

▼朝鮮の国連外交に注目すべき変化が見られる。先月までは「安保理が『調査結果』を議論しただけでも自主権侵害」であるとして「強硬な自衛的措置」をとると警告していた。議長あての書簡では、安保理が事件を公正かつ客観的に解明するために役割を果たすべきだと主張した。国連舞台で白黒をはっきりさせることにやぶさかでないということだ

▼朝鮮の反転攻勢からは国際世論の動向が読み取れる。南は米日との連携で北を追い詰めると息巻いていたが「制裁」はおろか法的拘束力のない安保理議長声明を引き出す見通しも立っていない。常任理事国の中国、ロシアは「調査結果」に賛同していない

▼安保理で事件の審理が行われることになれば、李明博政権が窮地に陥る。理事国の意見がまとまらなかっただけでも致命的な打撃だ。「北攻撃説」が国際社会の承認を得られなければ、南朝鮮内で「調査結果」に対する疑念が噴出するだろう。沈没原因をねつ造した政権にとって「天安」外交はやぶへびになりそうだ。(永)

[朝鮮新報 2010.6.11]