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春・夏・秋・冬

 前回の優勝、準優勝国がグループリーグで敗退した。優勝候補が「新参者」に足元をすくわれる番狂わせは、W杯の「風物詩」のようになっている

▼44年ぶり出場の朝鮮もそうした期待を背負っていた。初戦のブラジル戦での活躍は期待をふくらませた。しかし、目標は果たせず大敗を喫した。強い精神力と組織的守備で対抗したが、何より経験という壁に阻まれた

▼朝鮮の戦術は「堅守速攻」。守りをがっちり固め、ボールを奪うと素早く攻撃に転じる。攻撃にかける人数は少ない。相手の守備が固まる前にスペースを突く。スペインを破ったスイス、イタリアと引き分けたニュージーランド、予選リーグを突破した日本がこうした戦い方を用いて、前評判を覆した。朝鮮も、ブラジル戦やポルトガル戦の前半はこの戦術がうまく機能した。だから同胞が沸き、期待し、世界が評価した

▼同胞のあるサッカー関係者は、善戦したブラジル戦ではなく、大量失点を喫したポルトガル戦を「世界に近づいた試合」として位置付けた。「あと少しボールをキープし、あと一歩攻め込むことができれば、相手は守備に追われ攻撃に転じるのが遅れる。すると朝鮮はボールを奪われてもしっかり守れる。拮抗した試合展開に持ち込める」

▼「得点を意識しすぎて熱くなってしまった」。監督や選手たちはこう振り返った。このあたりが経験の差なのだろう。優勝経験のある国でさえグループリーグで敗退してしまうのがW杯。屈辱を味わってこそ強くなれる。今大会での「3敗」が4年後、8年後の躍進の序章であることを願う。(天)

[朝鮮新報 2010.6.28]