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春・夏・秋・冬

 東京・銀座の数寄屋橋交差点で中国人観光客の姿を見た。買い物目的で訪れた繁華街でカメラのファインダーを覗いていた。中国にはない光景を記録すれば「旅の思い出」になる。彼らは通りに立てられた参議院選挙のポスター掲示板に向かってシャッターをきっていた

▼最近、日本政府は中国人観光客の受け入れ基準を緩和し、富裕層に限定していた個人向けビザの発給対象を中間所得層まで広げた。「不法滞在」の温床になるとして一部の省庁が反対した施策だ。今回の措置を政権交代がもたらした「変化」と受け止める中国人はいるだろうか。善隣友好が目的ではない。日本の政府や企業が関心を示すのは観光客の「財布」だ

▼多くの人手で賑わう交差点を長蛇のデモが進んだ。観光客らがカメラを向けた。その日、朝鮮学校への「高校無償化」即時適用を求める集会があった。日本の市民や同胞、朝高生たちが「差別反対!」のシュプレヒコールを上げた

▼集会には先頃、連立政権を離脱した社民党の党首もメッセージを寄せた。目玉政策であった「無償化」から朝高を除外したことは政権交代の意義を損なうものだ。「元大臣」による痛烈な批判だ

▼今の政府は「低迷消費の救世主」を外から迎え入れても、朝鮮学校や民族教育に対する差別をやめようとはしない。あの政権交代はなんだったのか。参議院選挙の最中、銀座の交差点は「変わりばえのしない日本」を映し出していた。「首相、過半数割れの場合、新たな連立模索」−観光客が見上げた街頭ビジョンにそんなニュースが流れていた。(永)

[朝鮮新報 2010.7.2]