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人一倍通勤時間が長いせいなのかもしれないが、最近駅や電車内での客同士もしくは客と駅員とのトラブルをよく見かける。とくにこの季節は、湿気や暑さでイライラが募り、トラブルがさらに増えているように思える ▼全国の私鉄やJR地下鉄など25社のまとめによると、駅員や乗務員が乗客から暴力をふるわれるトラブルは、昨年1年間に869件発生。前年比で117件増えたそうだ。鉄道各社では防止を呼びかけるポスターを張り出すとともに、悪質な件に関しては、警察に通報するという ▼「社会の非寛容化」が叫ばれる中、経済不況や政治不信など日本社会全体を覆う閉塞感は日を追うごとに増している。そして、その憂さ晴らしは、常に社会的弱者、マイノリティーに向けられてきた。在日朝鮮人がその被害者と言っても過言ではない。中でも朝鮮学校に通う児童、生徒たちは、古くは「パチンコ疑惑」に始まり、直近では「在特会」による学校襲撃など、常に心ない一部の日本人の標的にされてきた ▼朝鮮学校を支援する市民団体のメンバーは、機会があるごとに「在日外国人が住みにくい社会は日本人にも住みにくい」「在日朝鮮人に向けられている矛先は、やがて日本のマイノリティーに向けられる」と警鐘を鳴らしてきた。「非寛容化」がさらに進めば、これらの警告が現実のものになりかねない ▼異質なものを受け入れる度量の深さがなければ、真の国際化、多文化共生など実現できるだろうか。膝元の隣人を苦しめ、痛めつけておいて、世界の人々から尊敬されるはずもないのだから。(国) [朝鮮新報 2010.7.21] |