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春・夏・秋・冬

 外国籍であることを理由に年金を受給できないのは「法の下の平等に反する」として、福岡の同胞高齢者9人が日本に損害賠償を求めた訴訟で、福岡地裁は8日、原告の請求を棄却する判決を下した。原告側は判決を不服として控訴。「まだまだたたかう」と原告の心は折れていない

▼だがこれまで、京都、大阪の同胞高齢者、障がい者らの訴えは、いずれも最高裁によって棄却されている。状況は厳しい。原告の朴愛子さんは判決後の集会で悔しさを露にした。「在日朝鮮人の歴史や実態が伝わっていない」。京都や大阪の原告、支援者に共通した思いでもある

▼提訴後に亡くなった夫の「来善さんは生前、筑豊の炭鉱などで犠牲となった同胞の遺骨収集に奔走した。民族教育事業にも深く携わった。まさに在日朝鮮人の歴史の生き証人だった。それだけに「さん夫妻を知る人々の悔しさは計り知れない

▼日本の過去清算、強制連行犠牲者の名誉回復、在日同胞や民族教育に対する差別の是正など、課題は山積。一方、差別の現状は在日同胞1世が日本に渡って来た当初から根本的に変わらない。今年、よく耳にした言葉を借りるなら、「日本の植民地主義は継続している」

▼福岡から1400キロメートル以上離れた北海道。同じく多くの同胞が強制連行され、過酷な労働を強いられた地だ。同胞らの「恨」が刻まれたこの地で青商会が「ウリ民族フォーラム」を開催した。青年たちは、1世が築いた同胞社会と民族教育を継承する決意を分かち合った。1世の無念を晴らし願いを叶えるため、「バトン」をしっかり受け継いでいく。(天)

[朝鮮新報 2010.9.13]