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春・夏・秋・冬

 8月末、平壌を訪れたカーター元米大統領がニューヨーク・タイムズに寄稿した一文が物議をかもしている。寄稿文によると、朝鮮側から不法入国者釈放のための訪朝と「金正日総書記との面談」が提案されたのは7月だった

▼オバマ政権がすぐに許可を出さず、元大統領の訪朝が8月末までずれ込んだということだ。それが総書記の訪中日程と重なった。朝鮮側の「意向」は伝えられたはずだが、現政権は彼に「特使」の役割を与えず、何ら権限を持たない「民間人」として送り出した。元大統領が総書記に会えない情況をわざとつくったと思える対応だ

▼時期を逸した「カーター訪朝」は、圧力によって朝鮮の「変化」を引き出すという「戦略的忍耐」路線に沿ったものだが、結果的にオバマ政権の無為無策を印象づけた。朝中首脳外交の華やかさと「取り残された元大統領」のイメージが対比された。大国としての威厳など微塵もない

▼昨年8月、クリントン元大統領が訪朝した。カーター元大統領は94年以来、2度目の訪朝だ。オバマ大統領は、民主党の大統領経験者の意見に耳を傾けるべきだろう。彼らは朝鮮との対決路線が「望ましい変化」をもたらさず、米国の利益を損ねるということを経験している

▼寄稿文によれば、朝鮮側はカーター訪朝を重視した。総書記の訪中前に実現していれば「面談」があったかもしれない。今回、「民間人」として訪朝した元大統領は「平和協定と非核化のための対話を再開したいという強いシグナル」を感じたと公言している。今後の推移に注目したい。(永)

[朝鮮新報 2010.9.24]