top_rogo.gif (16396 bytes)

春・夏・秋・冬

 コンピュータ将棋システムが初めて公の場でプロ棋士に勝った。今後、名人や竜王への挑戦も見込まれる。楽しみなイベントだが、恐ろしさも感じさせる。人間が指し手を決めるのに経験や直感が作用するのに対し、コンピュータは可能なすべての手について計算し、そのなかから最善の一手を選ぶ。データベースに基づいた統計分析という発想だ

▼その応用は無限に広がる。医療界では診断支援ソフトが開発されている。電子カルテに症状を入力すると、蓄積されたぼう大な事例を基に病気を予想し治療法を示す。今後は症状を入力せずとも、患者の病歴、年齢、身体的特徴などから病気の可能性を予測できるようになるという。裁判の判決を予想したある実験では、コンピュータの的中率が専門家を上回ったという

▼「命が救われるなら」「判決が公平なら」と喜んでばかりいられない。料理の素材、調味料の量、火加減、本のカバーの色、タイトルの書体、帯のフレーズ、映画の配役、シナリオなど、コンピュータが最も「売れる」組み合わせをはじきだしてくれるかもしれない。人間の役割は変わってしまうのか

▼研究者らは、コンピュータが人間に取って代わるものでないとしつつも、あらゆる「専門家」がこれまで安泰だった地位を脅かされると指摘する。記事の執筆=文字や単語の選択さえも例外ではない。(天)

[朝鮮新報 2010.10.18]