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李又鳳氏逝く−1世の思い語り継ごう

 またひとり、かけがえのない同胞1世が私たちの側から去っていった。

 総連秋田県本部委員長などを歴任した李又鳳さんが1月18日、死去した。享年86歳。4年前に金剛山歌劇団の秋田公演でお会いしたのが最後となったが、同歌劇団で活躍する孫の姿に目を細めていたのを思い出す。

 李さんは1924年、慶尚北道尚州郡に生まれ、18歳まで過した。「在日一世が語る」という著書もある李さんは、その本のなかで、平野も広く、綿や絹織物の盛んな土地だった尚州での暮らしを点描している。

 機織りは遠い昔から女の仕事だった。女と機織りを結ぶ神話や伝説は、世界各地に残っている。

 脈々と古から伝えられてきた暮らしが一変したのが、日本の植民地支配からだった。日本帝国主義は朝鮮の綿をすべて供出させるため、役人を動員して一軒一軒厳しく監視するようになった。

 李さんはこう書いている。 「自分の家で機織りさせないため、家にズカズカ上がりこんでは、機織り機をマサカリで割ったりして壊してしまう。ハンマーで潰してしまう。そうかと思えば、機織りの最中にハサミで糸を切ってしまう。ものすごく怒っていた朝鮮の女たちの姿が昨日のことのように思い出されます」と。

 愛国活動一筋に生涯を捧げた李さん。顧問になってからは、秋田県下の強制連行の実態について、日本の人たちとともに長い間調査活動にひたむきに取り組んできた。

 そんななかでも、過酷な機織り労働を担ってきた女性たちの歴史に光を当て、貴重な証言を残した李さんの思いを多くの人々に伝えていきたい。(粉)

[朝鮮新報 2010.2.19]