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「列島狂想曲」−緊張に乗ずる愚挙

 今年は朝鮮戦争勃発から60年、停戦から57年の年である。記者自身、何度も板門店を訪れ、南の地をはるかに望んだこともあった。北では日本から帰国した姉一家が根を下ろし、孫たちも成長し、もう大学生となった。南は父母の故郷であり、大勢の親せきたちが暮らす。祖国であれ、故郷であれ、大切な血族がそこに営々と命を育み、生を刻んでいる。

 いま、その地を脅かすのは、一体誰なのか。間違いないのは、「米韓合同軍事演習」という名の下に、横須賀を母港とする米海軍の原子力空母ジョージ・ワシントンや多数のイージス艦などが朝鮮西海に展開し北に対する戦争騒動を仕掛けている、という事実だ。

 今、こうした朝鮮半島の緊張をさらに激化させようとする動きが、日本で顕著だ。政界やメディアは、戦時体制下でもあるかのように、北憎悪の雰囲気を撒き散らし、あろうことか、その矛先を朝鮮学校の生徒たちに向けている。

 朝鮮学校の「無償化」の手続きを停止させるというのは、無茶苦茶な話ではないか。北南の軍事的緊張は心痛むことではあるが、その責任をどうして子どもたちに押しつけるのか。この地に生きる子どもたちの学習権を、平等に保障するというのが日本国憲法の精神ではなかったか。

 菅首相は恥ずべき態度を正すべきだ。(粉)

[朝鮮新報 2010.12.3]