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ジェンダー視点に立った運動を

 スイス・ジュネーブに行ってきた。UN(国連)子どもの権利委員会に参加するためである。この会議で、私は日本各地から集まったオモニたちの活動をサポートし、通訳を務めた。

 オモニたちはそれぞれ華やかなチマ・チョゴリを身に纏い、会議の間の休憩時間や昼食時間に委員たちに積極的に話しかけ、「日本政府に『高校無償化』の対象から朝鮮学校を外さないよう、勧告してください」と訴えた。「子どもたちの未来のためにお願いします」と言うその目からは涙がこぼれ落ちていた。オモニたちと数日間をともにしながら、同胞社会で家庭を支えているのはまだまだ女性たちであること、それゆえにオモニたちのパワーが本当に力強いことを実感した。

 私はここで、「母親はやはり偉大だ」などという、ジェンダー規範にまみれた、ありふれたことを言いたいのではない。むしろその逆である。一体いつまで女性たちが家庭を支え続けるのか? 家庭・子ども=母親という性別役割観を脱ぎ捨て、家父長制を乗り越えながら、新たな運動の形も常に模索していかねばならないと切に思う。でなければ、朝鮮学校の「高校無償化」除外問題に見られるような、未だ続く日本の植民地主義に抗していくことはとても難しいであろう。

 朝鮮人の子どもが朝鮮人として、日本で堂々と生きられるよう、すべての人々にいまたたかいが求められている。

 そして、そのための最も重要な知見のひとつとして、私はこれからもジェンダーの視点を大切にしていきたいと思うのである。(金優綺、団体職員)

[朝鮮新報 2010.6.18]