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「ドラマ」の現実

 世の中には、医者や看護師が主人公のドラマはよくある。「白い巨塔」を筆頭に、「医龍」「Dr.コトー」「ナースのお仕事」−など枚挙にいとまがない。ほとんどは、医者や看護師が日々の病院での出来事を通して成長していく姿が描かれている。私もそれらの医療系ドラマはついつい観てしまうし、患者さんのために努力している主人公たちが正直好きだ。そんなとき、だてに病院に勤めていないなと自分の職業選択に安心したりする。

 しかし、実際に病院に勤めていると、医療者側よりむしろ患者さんやそのご家族に感銘を受けることが多い。多分それは、病気や事故という人生の大きなピンチに直面した時に、私にはできないような立派な対応をするからだと思う。

 家族の介護生活が長期化するなか穏やかさを失わない妻、喧嘩しながらも2人3脚で治療にあたる夫婦、息子のリハビリに毎日付き添い、イライラを解消してあげる母…。病院でしかお会いしないが、到底自分にはできないような忍耐強さや明るさを見せられるときがある。いわゆる「偉業」を成してはいない普通の人の中に、そのようなすごい人が結構いるなと感じてうれしくなる。

 もちろん病院であるがゆえに、泣いたり落ち込んだり、家族の問題が露呈したりと、人間の弱い面が表出するときもある。しかし、人間には多面的な所もあるということを、仕事を通じて学ぶ機会が多い。語弊があるかもしれないが、人を知るうえでそれがおもしろいし、自分が人としてもっと磨かれる必要があると思わせてくれる。(崔賢姫、理学療法士)

[朝鮮新報 2010.10.1]