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託した「13番」

 「第90回全国高校ラグビー大会」。昨年、大阪朝高ラグビー部史上初めて、U−17日本代表に選出され、今大会屈指の超高校級プレーヤーとして注目を集めた権裕人選手が初戦で負傷した。

 「正直悔しいです」。ベンチから見守った3回戦終了後、権選手はそう話した。大会中、チームメイトの前では笑顔を絶やさなかった。「全力でチームをサポートする」と決めたからだ。それでも「部屋で一人になると(悔しくて)泣きそうだった」と振り返った。

 準々決勝で権選手のポジション・右センターに入ったのは2年の洪泰一選手。ラグビーではポジション別に背番号が決まっているため、右センターならば「13番」を着なければならないが、「22番」でピッチに立った。理由は、権選手のユニフォームが大きすぎたためだ。

 しかし準決勝の試合には、「13番」を背負いプレーする洪選手の姿があった。

 試合前日のミーティング終盤だった。おもむろに手を上げ前に進み出た権選手が、「13番」のユニフォームを涙ながらに洪選手に手渡した。「明日はこのユニフォームを着てくれ。『13番』を着るからには中途半端なプレーは許さないぞ」。権選手は後輩に、去年の雪辱を託した。劇的な幕切れ。またしてもベスト4の壁に跳ね返された。

 しかし、「13番」とともに託された権選手の思い、そして「最強」の3年生たちが見せた「朝高魂」は、後輩たちにしっかりと受け継がれたはずだ。

 準決勝翌日の1月6日、新チームの練習が始まった。(茂)

[朝鮮新報 2011.1.11]