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〈ルポ〉 行動力が出会いを左右〜同胞青年たちの結婚事情〜

「運命の人」は身近にいた!

 同胞青年たちが同胞との恋愛、結婚を望むのは昔も今も変わりないが、出会いの場をかつての「うしろめたくて行きづらい場」ではなく、気軽で前向きな場と捉えるようになっている。最近では朝青や留学同が「つながり構築の場」を提供し、多くの同胞青年が参加しているという。

毎月20日の夜は…

「20th」スタートのきっかけとなった「ワッチャワッチャ★2006」

 東京では、毎月20日に「Night on the 20th in Tokyo」という出会いの場が設けられている。08年8月にスタートした。おおよそ20人ずつ、見ず知らずの男女が集い、楽しく愉快な夜を過ごす。参加対象は「20歳から35歳ぐらいまでの在日コリアンの男女」と幅広い。

 同イベントは綿密な連絡網を通して開催を告知し、「わくわくするような」印象を与えるよう企画されている。参加者には事前にイベント内容がメールで送信され、「遊ぶ」「観る」「逢う」「食べる」をテーマに毎回違う形式で参加者を楽しませてくれる。

 盛り上げ役は主催する青年たちだ。初対面の男性、女性をつなぎ、連帯感を生み出していく。2時間が経つ頃にはみんなが打ち解け合っていた。その後、連絡を取り合いカップル成立へとつながったケースも多く、中には結婚を視野に入れている男女もいるという。

 「20th」が始まったきっかけは、「ワッチャワッチャ★2006」という行事の成功だ。20代を中心とした男女が都内の遊園地で遊び、その後に宴会を楽しむという単発のイベントだった。06年に朝青東京都本部が主催し、大好評だった。当時、企画を担当したある青年は、「このようなイベントを朝青支部や同級生単位でもできるはず。そのヒナ形をつくり、つながりの大切さも感じてもらいたかった」と振り返る。

 「ワッチャワッチャ」で初めて出会った神奈川と東京の同胞青年はその後、結婚に至った。2人は現在、幸せな家庭を築いている。当時、男性は朝青員から誘われ、女性は人数合わせでイベントに参加した。「軽い気持ちで参加してみたら運命の人がいた」と話す二人。そこには出会いの重要なヒントがあった。

 女性はこう続ける。「朝青がふだん集まる場に行く気持ちで互いに参加したし、それが良かったと思う。彼も私も普段から朝青の集いに参加するのが当たり前だった」。

 この発想を生かした「20th」が波及効果を生み出し、各地の朝青員たちも出会いのイベントを通じて新たなつながりを持つようになった。「20th」は今月20日にも都内某所で予定されているそうで、主催者側の男性は「『20th』は、気軽に同胞青年と出会える場。朝鮮学校出身とか日本学校出身とかの壁はない。『出会い』というとなかなか参加しにくいかもしれないが、同胞社会への入り口のような感覚でみんな参加してくれている。スタッフもそんな感覚で多彩な企画を準備している」と語った。

ステキな「出会い」

同胞青年同士の結婚式の様子

 昨年12月中旬、東京・赤坂にある飲食店に20代後半から40代前半の同胞青年が集っていた。受付に張られたチラシには「ステキな『出会い』を求める在日コリアンのためのパーティー」とある。服装は自由だが、「なるべく清潔感のある服装でご来場ください」という但し書きもあった。

 09年上旬から年に数回催しているという留学同主催の同パーティーはキャンセル待ちが出るほどの盛況ぶりだ。今回も午後7時の開始前から会場は熱気に包まれていた。参加者は入場とともに自身のプロフィールを紹介カードに記入し、決められた時間のなかで自己紹介タイムが設けられ、その後グループごとにテーブルでのトークを食事やお酒とともに楽しむ。フリートークの時間もあり、2次会に行くという青年らの姿も見受けられた。この日のパーティーでは数組のカップルが生まれた。

 パーティーに参加した千葉県出身で30代前半の男性は、日本の大学を卒業後に就職したが、付き合いと言えば同僚など日本人が相手で、同胞青年と接する場はほとんどないという。かつて留学同に所属していただけに、物足りなさを感じていたとき、ちょうどパーティーの開催を知った。「祭祀(チェサ)など家での風習を考えると、やはり同胞女性との結婚を望む。だからこうしたイベントはありがたいし、留学同のころの友人とも再会できて、有意義な時間を過ごせた」。

 一方、北海道から泊まりがけで参加したという女性(30代前半)は、今回が2回目だという。家庭での教育を思い起こすと、やはり同胞青年との結婚が自然な流れだという認識を持つ。「日本の学校に通っていたため、『出会い』がなかったというのが本音。ぼーっとしていたらこの年齢になった」と話しながら会話を楽しんでいた。

 同イベントの特徴としては、みな「出会い」に前向きで話し方が明るいということ、そして前述の女性以外にも地方から多数の参加者がいたことだ。大人数で食事をする方式は男性が好む傾向にあるが、この会では女性も十分楽しんでいるように見えた。主催者側のちょっとした心遣いや気配りが大事だということを示している。

 主催者の一人は、「このパーティーの強みは、初対面の人との会話が苦手な人でも、一人ずつと話せる場を設けているため、誰もがトークを楽しめるようプログラムを組んでいること。テーブルトークの男女比率も趣向を凝らしている。また、男性同士、女性同士で新たな友人もできる楽しい場。すでに2組の結婚が決まったと聞いている」と話していた。

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 現在、同胞青年男女をつなぐ場は時代の変化にうまく対応しながら、多様化しつつある。同胞青年たちは「子どもたちにはぜひ同胞との結婚を」という親世代の空気を感じ取り、葛藤しながら、民族結婚について前向きに考え、行動している。(李東浩)

[朝鮮新報 2011.1.12]