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〈取材ノート〉 心に響く歌

 「信念と意志の化身」−非転向長期囚を示す言葉である。

 先日、セセデ活動家代表団の一員として訪朝した際、非転向長期囚の話を聞く機会があった。

 忠清南道出身のリ・ゴンスンさん(76)は、祖国統一のために運動を展開する中、「国家保安法」によって捕まり、1967年から99年までの33年間、獄中生活を強いられた。

 拷問、脅迫、恐喝、誘惑…ありとあらゆる方法で思想の転換を強要された。拷問によって息絶えていく同志たちの姿も目の当たりにした。しかし、リさんの信念が揺らぐことはなかった。

 「厳しい風が吹き荒ぶ日本で総聯を守り抜いている君たちは、私たちと同じ境遇だ」

 想像を絶するほどのあらゆる苦痛を体験したリさんの一言は、あまりに重かった。ありがたい気持ちと同時に、自身を振り返り羞恥心が込み上げてきた。

 非転向長期囚たちが祖国に帰還してから、11年が経とうとしている。昨年、10周年に際し、金正日総書記を招き、家族と共に公演を開いたという。

 リさんの体験談を聞いた後、その公演を観覧することができた。とても貴重な時間だった。序幕の「金日成将軍の歌」には、鳥肌が立った。数十年という歳月を監獄の中で拷問を受けながらも、屈することなくひたすらに指導者と祖国を思いたたかい抜いた19人の長期囚たちの歌は、誰が歌うよりも重みがあり、強い説得力があった。技術や歌声でなく、その心からあふれ出てくるものが、心臓の奥深くにまで響いた。(裕)

[朝鮮新報 2011.1.17]