top_rogo.gif (16396 bytes)

強制連行調査団全国協議会 今年の活動内容決まる

人権啓蒙、広範・継続的に

 朝鮮人強制連行真相調査団2011年全国協議会が西日本(1月22日、兵庫)、東日本(1月29日、埼玉)でそれぞれ開かれ、調査団朝鮮人側中央本部団長の総連中央の朴久好副議長兼権利福祉委員会委員長と調査団日本人側全国連絡協議会共同代表の原田章弘・横須賀市議会議員、寺尾光身・名古屋工業大学名誉教授をはじめ各地の調査団と在日朝鮮人の歴史・人権問題に取り組む市民団体の関係者、研究者、学生らが参加した。会議では、各地の代表らが昨年の活動報告を行い、朝鮮人強制連行調査研究、「在日朝鮮人歴史・人権月間」など今年の活動方針について話し合われた。

各地の経験を共有

東日本(1月29日、埼玉)

 朴団長は解放から65年、日朝平壌宣言発表から8年以上が経った今も日本政府が4年以上にわたり対朝鮮経済制裁を続けており、とくに日本当局が朝鮮学校に対する「高校無償化」適用手続きを停止させ差別や排外主義を助長しているように、在日朝鮮人差別が子孫の代にまで及んでいることを厳しく指摘。在日朝鮮人の歴史の発生原因である強制連行の調査研究と、過去の歴史を人権問題として捉え啓蒙運動を推し進めていくことの重要性を訴えた。

 会議では群馬、栃木、埼玉、西東京、神奈川、愛知、岐阜、奈良、京都、大阪、兵庫、山口など各地の代表らが昨年の活動報告を行った。強制連行関連の遺跡や碑の保存、犠牲者の遺骨や名簿の調査、交流会や学習会の開催、「高校無償化」や「補助金」など朝鮮学校と民族教育の権利問題への取り組みなどさまざまな活動内容と経験について話し合われた。

 愛知の留学同と日本の大学生らでつくる「日朝友好愛知学生の会」は、在日朝鮮人の歴史、人権問題について調査、学習することで互いに交流を深めた経験について報告した。同会が企画した金沢スタディツアーでは、石川県内の朝鮮人とゆかりのある遺跡や建物をめぐり歴史認識を深めた。

 原田章弘共同代表は、愛知の日朝青年らのこうした精力的な活動を高く評価しながら、各地のさまざまな活動と経験を各々の地域に持ちかえり取り入れていけるのではないかと訴え、調査団の活動と運動を盛り上げていこうと呼びかけた。

 会議では、尼崎市が朝鮮学校付属幼稚園の保護者への補助金を廃止しようとした問題で、地域の同胞や保護者らが市政について調べ、街頭宣伝や要請活動を行い廃止方針を撤回させた経験について報告された。

北部出身被害者の調査も課題に

西日本(1月22日、兵庫)

 会議では2011年の活動について討議、採択された。

 朝鮮人強制連行調査研究に関しては、とくに日本各地に9859カ所あるとされる地下壕(うち築造主体が旧日本軍、軍需工場、地方公共団体、町内会のものは259カ所)での強制連行調査、太平洋戦争末期に朝鮮半島北部から連行された被害者、遺族の調査、証言収集などを行う。

 調査団が共同実行委員会に名を連ねる「在日朝鮮人歴史・人権月間」は今年、在日朝鮮人の民族教育と日本での民族差別をテーマに開催される。これに関して、調査団としては引き続き、過去の歴史から在日朝鮮人の人権の問題点を明らかにし、日本国内での差別、民族性抹殺が重大な人権侵害であるという認識をより深める人権運動を推し進めるとともに、こうした運動をより広範で長期継続的な運動へと発展させていくための提案を行っていく。

 一方、調査団は来年8月、結成40周年を迎える。これまで提案され取り組まれた朝鮮人強制連行犠牲者の遺骨問題、年金問題なども継続して調査し、各地で歴史、人権問題に取り組む市民団体とより広く連携していくことなどが強調された。また、大学生や青年らの活動を積極的に支援していこうとの呼びかけもあった。(李泰鎬)

[朝鮮新報 2011.1.31]