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東日本大震災 津波被害地域の安否確認対策

朝鮮学校で非難生活

 東北・関東地方を襲った大地震と大津波で同胞たちも甚大な被害を被った。宮城、福島、岩手をはじめ、津波被害が大きかった東北の沿岸部にも同胞たちが居住している。被害の規模が大きい地域では14日現在も、総連活動家たちが安否が確認されていない同胞たちのための確認作業を急いでいる。

宮城

壁が倒壊した東北初中の教員室

 宮城県では、気仙沼市をはじめ津波被害が大きかった海岸地域に住んでいる同胞たちと連絡が取れていない状況だったが、14日、総連本部の活動家らが仙石地域に入り、同胞たちの安否を確認した。

 しかし、40余世帯中、数世帯の同胞たちとは依然、連絡が取れていない。一方、この地域に避難していた気仙沼市の同胞1人の無事が確認された。

 総連宮城県本部管下の活動家たちと学校の教員、生徒らと同胞たちは、東北朝鮮初中級学校の寄宿舎や周辺の避難所で生活を送っているが、負傷者はいないという。彼らは、薪を燃やしたり石油ストーブで暖を取って寒さをしのいでいる。

亀裂が入った総連宮城県本部の外壁

 総連本部会館と学校の建物も被害にあったが、活動家たちと教職員たちは「同胞のためにやれることはすべてやろう」という一念で団結し、奮闘している。

 寄宿舎では教職員たちが食事をまかない、仙台市内で焼肉店を経営しているある同胞は、弁当を作って同胞たちに提供しているという。

 東北初中では14日現在、電気が一部復旧したが、水道とガスは断絶したままだ。近くに設置されている中継塔が倒れ、携帯電話もつながらない。

想像を絶する揺れに襲われた総連宮城県本部の事務所内部

 情報交換が必要なときは、仙台市内まで代表者が出向いて、東京をはじめとする他の地域に現況を知らせている。

 現地では、食料品とガソリンが不足しているという。仙台市内の同胞と隣県である山形の同胞たちからの多くの支援で、東北初中を避難場所としている同胞たちは、制限がある中でもしっかりと食事をとりながら、復旧に向け奮闘している。

 一方、宮城、青森、岩手、秋田、山形を含む朝青東北地方委員会によると、東北地方全県の朝青員たちと連絡が取れたという。

福島

地震直後の総連福島県本部事務所と台所

 総連福島県本部では14日午後5時現在、同胞の人的被害の報告は受けていない。いわき市、相馬市、広野町でこれまで安否の確認が取れていなかった同胞にも連絡がつき、無事が確認された。

 また、被害が甚大だった太平洋側の浜通支部の同胞たちに対し、福島朝鮮初中級学校への避難を呼びかけている。現在、同校には同胞7人と日本人9人が避難している。

 総連本部の尹鐘寛副委員長によると、福島初中には火災によって家が全焼した同胞、避難勧告が出された東京電力福島第一原発1号機の20キロメートル圏内に暮らす同胞などが避難してきている。福島初中の電気、水道は現在正常だという。ただ、ガスはプロパンガスを使用しており、市内では売り切れにより購入が困難な状況だ。

 また、同校には寄宿舎があることから、食料の備蓄があり当面は問題はないとしているが、ガスがなくなれば調理ができなくなる。

岩手

 14日現在、総連岩手県本部管下の同胞のうち、内陸部地方の同胞85%の安否を確認。家財道具などが破損し、食料も満足には行き届かないなか内陸部の同胞たちは、自宅で生活しているという。

 総連岩手県本部では、連絡のつかない沿岸地域に住む同胞の安否確認のため、14日に緊急車両の許可を取り沿岸地域に入った。

 同本部によると、沿岸地域に位置する大船渡市近郊、釜石市、宮古市、大槌町に住む同胞宅の安否が確認されたという。しかし、大船渡市近郊に住む同胞の家族1名の安否が取れていない状態だ。

 沿岸部に住む同胞のなかには、自営業の店舗や自宅が津波に流されたという人もおり、現在では各自が避難所での生活を強いられている。

 総連岩手県本部管下の同胞は現在、自宅に備蓄した食糧や、避難所で配給されたもので生活を行っているが、これらがなくなれば食料の確保が困難となる。

[朝鮮新報 2011.3.15]