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朝鮮幼稚園保護者への補助金 尼崎市が廃止を撤廃

 兵庫県尼崎市は、尼崎朝鮮初中級学校付属幼稚園に子どもを送る保護者への補助金廃止方針を示していたが、関係者や一般市民の意見、歴史的経緯などを踏まえ再度協議した結果、来年度以降も支給することを決めた。19日、市が学校側に伝えた。

 同市は昨年、財政難や子ども手当の支給などを理由に補助金の廃止を学校側に伝えた。他の地域や市立などとの格差を解消すべく、補助金の増額を訴えてきた学校側としては到底納得のいくものではなく、保護者や市民らが強く反発していた。

 同校の保護者や学区内の同胞、活動家らでつくる民族教育権利擁護阪神地区協議会では、緊急集会や駅前でのビラ配りを行い、補助金継続を訴えてきた。また、同校を支援する市民団体などと共に継続を求める要請活動も行った。

 昨年12月に就任した稲村和美市長は、「公平であるべき」として補助金廃止を見直す考えを示していた。同市が募ったパブリックコメントでは、補助金廃止に反対する意見が100件を超えたのに対し、賛成は0件だった。これらを受け、あらためて協議が行われた結果、継続が決まった。

 尼崎初中オモニ会の高節子会長は、「継続が決まって一安心と言いたいが、本来、増額を求めてきただけに、問題が振り出しに戻ったにすぎない。ここで立ち止まらず前に進まなければならない」と語った。

 同市は、朝鮮学校で義務教育課程に相当する教育が行われていることや在住する朝鮮人が納税義務を果たす市民であることなどを踏まえ、1980年度から「朝鮮人学校就学補助金」を支給してきた。一方、1994年に策定した「尼崎市国際化基本方針」のなかで、差別をなくし異なる文化を認め合う社会作りの必要性を強調。外国人が 「国などの制度の中で等しく役務の提供が受けられない施策」について改善を図ることを明記している。

 学校側関係者は、朝鮮学校の歴史や補助金の経緯についての行政側の認識不足を指摘しながら、市が補助金を増額することで差別や格差を解消していくべきだと訴えた。

[朝鮮新報 2011.1.28]