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被災地の東北初中で卒業式 同胞愛、私たちが恩返しを

涙ながらに日本各地の同胞たちに感謝の気持ちを語った中級部卒業生たち

 「今度は私たちが救援物資になって、同胞社会を支えたい」。中級部卒業生たちは、そう話した。

 3月27日、東日本大震災の甚大な被害を受けた宮城県仙台市にある東北朝鮮初中級学校で、2010学年度初級部第46回、中級部第45回卒業式が行われた。

 震災により同校のほとんどの施設が大きな被害を受け、式場となったのは食堂。壁一面に日本各地から送られてきた横断幕や応援メッセージ、祝電が飾られていた。初中級部合わせて卒業生10人の小さな卒業式は、日本各地の同胞たちから見守られているかのように、温かい雰囲気に包まれていた。

 在校生、保護者、教員、李英植委員長をはじめとした総連宮城県本部の活動家だけでなく、多くの県内同胞たち、総連中央緊急対策委員会メンバー、女性同盟中央の姜秋蓮委員長、救援物資を届けるために現地に訪れた他県同胞たちが卒業式の会場を埋めた。

 式ではまず、大震災で犠牲になった同胞を悼み黙とうが捧げられた。また、李委員長が朝鮮・平壌にある姉妹校から送られてきた祝電を紹介し、尹鐘哲校長が学事報告を行った。卒業生たちはあふれる思いを振り返りながら、卒業証書や各種表彰を受け取っていた。

 式後には卒業生たちによる公演が行われた。初級部卒業生たちは6年間の学校生活を、笑いとユーモアを交えて演じた。

東北初中で行われた卒業式の様子

 参加者の涙を誘ったのは、中級部卒業生たちの公演だった。タイトルは「私たちが送る支援物資!」。

 母校を巣立つ卒業生たちは、「大震災は多くのものを奪い去ったが、それ以上に惜しみない支援の手を差し伸べてくれた大きな同胞たちの愛を感じさせてくれる機会になった」と涙ながらに語った。

 各地から届けられた救援物資、他県の朝鮮学校生徒らから寄せられた手紙…。普通ならば恩師や保護者に感謝し、学校での思い出をつづる卒業式は、今年、大震災にも決して負けることなく、同胞たちに支えられながら力強く前進しようという決意の場に変わった。

 青森県から義母と妻と共に訪れたという大阪出身の李光修さん(39)は、「本当にいい卒業式だった。生徒たちの姿を見て自分自身も力をもらうことができた」と話した。

 公演後、参加者らに食事が振る舞われた。同校ではガスが止まっているため、屋外で薪を焚いて作られたクッパと大阪の同胞から送られてきたキムチが食卓を飾った。参加者らは温かい食事に舌鼓を打ちながら、被災の苦労を感じさせない笑い話に花を咲かせていた。

 毎年卒業式に参加しているという仙台市在住の李静基さん(62)は、「こんなに多くの同胞たちが集まるとは思いもしなかった」と述べ、各地から送られてきた救援物資に言及しながら目に涙を浮かべた。李さんは「卒業生たちは被災したが、各地同胞からの救援物資に込められた大きな愛を得て、前に進む不屈の精神を自覚することができたと思う。彼ら、彼女らなら今後成長し、同胞社会で大きな役割を担っていけるだろう」と期待を口にした。(李東浩)

[朝鮮新報 2011.3.31]