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被災地岩手から埼玉初中に、母校に娘 「夢のよう」

侑那ちゃんと愛那ちゃん(中央2人)の転入、入学を喜ぶ張さんと金さん(子どもの両隣)。岩手から駆けつけた崔委員長(最後列)たちとともに(写真提供=朝鮮商工新聞)

 埼玉朝鮮初中級学校で2日、入学式が行われた。この日、同校には東日本大震災で被災した岩手県大船渡市から2人の「仲間」が加わった。張侑那ちゃん(初4)と愛那ちゃん(初1)姉妹だ。両親の張英敏さん(40)と金秀和さん(38)は、「何の心配もいらないからと言って、子どもたちを受け入れてくれたウリハッキョに、本当に感謝している」と話す。

 大震災発生後、総連中央は緊急対策委員会を立ち上げ被災地に暮らす同胞たちの安否確認を行うとともに、救援活動を本格化させた。各地同胞たちから寄せられた救援物資が連日のように被災地に届けられ、募金活動も活発に行われている。

 張さんが営む焼肉店と自宅は、津波によって跡形もなく流された。張さんは大船渡市に留まり、妻と子どもたちは埼玉県さいたま市にある妻の実家に避難させた。

 総連埼玉・中部支部の活動家たちはすぐに金さん宅を訪れた。金さんは、「生活のことや子どもたちの教育での問題などの相談に真摯に応じてくれた。その心遣いがうれしかった」と話す。埼玉初中では支部と緊密な連携を取りながら受け入れ体制を整えた。また、県青商会では制服を、女性同盟では文房具を用意するなど、多くの県内同胞たちも協力を惜しまなかった。

先生から教室で、教科書を受け取る愛那ちゃん

 侑那ちゃんはこれまで岩手県内にある日本の小学校に通いながら、朝鮮大学校の学生たちが講師を務めるインターネット教室「ナルゲ(翼)」で朝鮮語に親しんできた。「朝鮮学校に通うことについて、子どもたちは不安を感じるどころか楽しみにしていた。4年生のクラスメイトが侑那にたくさん話しかけてくれて、すぐに打ち解けているのを見て、大丈夫だと確信できた」(金さん)。

 同校の卒業生でもある金さんの頭の片隅には、いつも朝鮮学校の存在があったという。しかしさまざまな事情から、それが叶わなかった。金さんは娘たちが朝鮮学校の制服に袖を通す姿を見ながら、「まさか子どもたちが母校でウリマルを習えるなんて、これまで思ってもみなかった。夢のようだ」と喜んだ。

 入学式には、岩手から総連岩手県本部の崔成守委員長と家族、女性同盟の゙貞喜委員長らが駆けつけた。

 張さんは、「今後の生活のことはまだ決まっていないが、その中でも快く受け入れてくれたウリハッキョに本当に感謝している。震災で大きな被害を受けたけど、この間、同胞たちの温かい気持ちをたくさん感じた。道路も遮断されてガソリンも足りない中で、崔委員長たちが救援物資を持って沿岸部まで何度も来てくれた。そして入学式にもわざわざ駆けつけてくれて祝ってくれた。こんなことをしてくれるのは、同胞組織だけだと思う」と口にした。(鄭茂憲)

[朝鮮新報 2011.4.14]