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春・夏・秋・冬

 財団法人全日本仏教会は1月21日、「朝鮮半島出身の旧民間徴用者等の遺骨の早期返還を求める要望書」を内閣官房、外務省、厚生労働省に提出した。同会に加盟している寺院の数は全国約7万5千のうちの9割以上。日本仏教界最大規模の連合体による要請の意義は大きい

▼日本政府は05年、全国の寺院に対し「朝鮮半島出身の旧民間徴用者」の情報提供を求めた。その集計結果と情報は9回にわたり政府に提出された。しかし、日本政府は祐天寺(東京)に安置されていた朝鮮半島南部出身元軍人・軍属の遺骨を南に送還する一方、各寺院が保管しているいわゆる「民間人」の遺骨は放置した

▼遺骨返還の遅れはさらなる悲劇を招いている。李明博政権が強制連行問題関連機関を縮小したことも災いし、死亡原因や遺族が不明のまま遺骨が無断で南朝鮮に送られた。遺族の悲しみに付け込んだ「遺骨ブローカー」による詐欺まで横行した

▼全日本仏教会は、遺族や寺院関係者の高齢化により、「この問題についての記憶が薄れ、次の世代に継承しにくくなり、このままでは危機的な状況になる」と警鐘を鳴らす。菅首相は昨年8月の談話で、この問題への「人道的な協力を誠実に実施する」と明言した。朝鮮人の遺骨問題は、朝鮮に対する日本の植民地支配が招いた悲劇だ。日本政府は一刻も早く、無条件に取り組むべきだ。(天)

[朝鮮新報 2011.1.31]